ミャンマー問題でASEAN方針見直し
Japan In-depth / 2022年8月1日 19時0分
最初に動いたのはインドネシアで、2021年4月にASEAN緊急首脳会議を首都ジャカルタで開き、軍政のミン・アウン・フライン国軍司令官を首脳会議の場に呼んで各国首脳らと直接面談する形での協議を実現させた。
この首脳会議ではスー・チーさんの即時釈放というASEANの要求はミン・アウン・フライン国軍司令官の反対で実現しなかった。
■首脳会議での「5項目合意」が呪縛に
しかし議長声明としてASEANが提示した「5項目の合意」にはミャンマーも合意し、以降のASEANによるミャンマー問題の鮎貝はこの「5項目の合意」が基本原則として進められることになった。
その「5項目」とは①市民を標的にした武力行使の即時停止②関係者全員の建設的な話し合い③ASEAN特使の派遣で仲介を進めること④人道支援を受け入れること⑤ASEAN使と関係者全員と面会すること、となっている。
緊急首脳会議を主導したインドネシアのジョコ・ウィドド大統領やレトノ・マルスディ外相らは「会議は成功」だったと評価した。クーデター以降、ミン・アウン・フライン国軍司令官の初めての外遊となった首脳会議で直接意見を交わすことができたことは確かに成功といえるだろうが、その後の展開を見る限り果たして成功と評価できるのかはなはだ疑問となっているのが現状だ。
ミン・アウン・フライン国軍司令官ら軍政幹部はASEAN議長国のカンボジアのフンセン首相やASEAN特使となったカンボジアのプラク・ソコン外相とは面会するものの「5項目の合意」の中の「武力行使の即時停止」は「武装市民からの攻撃が止まない以上武力行使停止はできない」と弁明し、「全ての関係者との面会」に関しても「スー・チーさん以下訴追されて裁判の被告となっている人物との面会を認める国などない」として断固として拒否しているのだ。
この行き詰まりを打開するために、ASEANとして新たなアプローチを模索する動きがマレーシアを中心に始まっており、その最初の協議が7月3日にカンボジアで開催されるASEAN外相会議になるだろう。同外相会議にはミャンマーの軍政外相は招待されていない。
トップ写真:ミャンマーの政治犯の釈放を要求するデモ隊(2021年4月24日 インドネシア・ジャカルタ) 出典:Photo by Ed Wray/Getty Images
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