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台湾巡り米中チキンゲーム始まる

Japan In-depth / 2022年8月3日 7時0分

台湾巡り米中チキンゲーム始まる




宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)





「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2022#30」





2022年8月1-7日





【まとめ】





・ペローシ米下院議長訪台めぐり、米中政権が対応に苦慮。「進むも地獄、退くも地獄」。





・訪台実現なら、習近平氏は何らかの強硬策へ。訪台断念なら米議会対中強硬派は猛反発し、バイデン政権に批判集中へ。





・中国は「軍事的対抗措置」の可能性を示唆。米強硬派も「やれるものならやってみろ」と。米中のチキンゲームが始まった。





 




今週は月曜から一年振りで秋田県に来ている。山間の湖畔にある「隠れ家」のような旅荘で朝湯を満喫した後、この原稿を書いている。東京は本日最高気温37度の予想とか、今年の暑さは異常なのだろうか。しかし、これよりホットなのが台湾をめぐる米中の軋轢だ。朝のニュースは「今晩にも下院議長訪台か」などと報じていた。


昨日が締切の産経新聞コラムの原稿で筆者はこう書いた。「バイデン政権も対応に苦慮している筈だ。・・・ペローシ議長が訪台する可能性は高いと思うが、仮に実現すれば、習近平氏は何らかの強硬策を取らざるを得ないだろう。逆に、もしペローシ氏が断念すれば、米議会の対中強硬派は猛反発し、バイデン氏に批判が集中する。」







▲写真 バイデン米大統領(2022年8月1日 米・ホワイトハウス) 出典:Photo by Jim Watson-Pool/Getty Images


バイデン大統領は「米軍は(下院議長の訪台が)良い案だとは思っていない」と公言した。大統領職継承順位が副大統領に次ぐ「下院議長」の公式外遊には米軍機が使用されるからだろう。だが、三権分立の下で行政府が立法府の動きを止めることはできない。連邦議員の多くもペローシ訪台を支持しているようだ。


米中にとってはいずれも「進むも地獄、退くも地獄」である。今年の共産党大会は三期目を目指す習氏にとって正念場だから、このタイミングでの米国要人訪台強行で中国は米国に「喧嘩を売られた」と思うのではないか。されば、習氏にとって安易な妥協は国内政治的にも極めて難しいのだろう。







▲写真 中国・習近平国家主席(2022年4月8日 中国・北京) 出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images


中国は「軍事的対抗措置」の可能性を示唆しているようだが、米国の強硬派も黙ってはいない。「やれるものならやってみろ」「万一、米軍との軍事衝突にでもなれば、逆に米軍を不必要に挑発した習近平氏が『危険な冒険主義者』と批判されかねない」と考える。どうやら米中チキンゲームが始まったようだ。来週はこの顛末を書こう。


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