ペロシ米下院議長の訪台
Japan In-depth / 2022年8月4日 7時0分
もう一つは、「両国関係を正しい軌道に沿って発展させる」(f)である。
この記事でも「世界が混乱する中、国際社会とすべての人民は、米中が世界の平和と安全を維持し、世界の発展と繁栄を促進するために主導的な役割を果たすことを期待する」と述べている。
両論考とも、穏やかな論調である。
さて、8月1日、米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は、CNNとのインタビューで、ペロシ下院議長の台湾訪問は「(特別)珍しくない」し、最近の中国による周辺への脅威について「その理由がない」と語った(g)。
結局、ペロシ議長は、シンガポール・マレーシア訪問後、8月2日深夜、台北に到着した。
実は、ペロシ議長は、1991年、訪中した際、「6・4天安門事件」で「中国の民主化のために命を落とした殉教者に捧ぐ」という横断幕を掲げ、一時、警察に拘束されている(h)。
今回、ペロシ議長は「民主化」された台湾を訪問し、今秋の中間選挙で民主党の票獲得につなげたいという思惑が見え隠れする。
米在住の評論家、陳破空(i)によれば、ペロシ議長の訪台は、米国が習主席の第20回党大会再選を支持しないことを暗に示す動きだという。
実際、習主席は「ハード路線」も「ソフト路線」も採れない。
もし、習主席が「ソフト」路線を採れば、任期中に台湾を取り戻すと明言しているのにもかかわらず、中国の力を示せず、どうして台湾を奪えると言えるのか、という批判を浴びる。
一方、習主席が強気に出て、台湾海峡で戦争を始めても、今の中国の軍事力では、米主導の「反中国連合」に対抗できないだろう。
ひょっとして、ペロシ訪台は、米国が習主席に投げた“クセ玉”だったのではないだろうか。
〔注〕
(a)『中国瞭望』
「党の歴史上、前例がない!習近平の『四無会議』呼びかけのシグナルは?」
(2022年7月30日付)
(https://news.creaders.net/china/2022/07/30/2509879.html)。
(b)『rfi』
「自称第2期は並外れたものとする習近平の異例の演説、第20回党大会再選に向けての基調とする」
(2022年7月27日付)
(https://www.rfi.fr/cn/%E4%B8%AD%E5%9B%BD/20220727-%E8%87%AA%E7%A7%B0%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E4%BB%BB%E6%9E%81%E4%B8%8D%E5%B9%B3%E5%87%A1-%E4%B9%A0%E8%BF%91%E5%B9%B3%E8%AE%B2%E8%AF%9D%E4%B8%BA20%E5%A4%A7%E8%BF%9E%E4%BB%BB%E5%AE%9A%E8%B0%83)。
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