インドネシアと米の軍事演習、中国意識
Japan In-depth / 2022年8月5日 18時0分
今回の演習はこのナツナ諸島周辺海域で実施されていることから中国に対する「妥協もしないし譲ることもない」とする強いメッセージをインドネシアのみならず参加国が共有し、対外発信するとの思惑があるのは間違いない。
インドネシア専門のアナリストは「ナツナ諸島周辺の海域での海軍による演習は参加国にこの海域の事情を理解するのに役立つだろう」との見方を示している。
■14カ国が参加やオブザーバーに
今回の演習は毎年の恒例演習である「ガルーダ・シールド」から「スーパー・ガルーダ・シールド2022」と新たな命名で実施され、参加国はオブザーバーを含め14カ国となった。
米・インドネシア軍に加えて日本、シンガポール、オーストラリアがパートナーという資格で部隊を派遣して演習に参加するほか、カナダ、フランス、インド、マレーシア、韓国、パプアニューギニア、東ティモール、英国、ニュージーランドがオブザーバーとして要員を派遣している。
演習はスマトラ島のランプン州とナツナ諸島が含まれるリアウ諸島州、東カリマンタン州などで行われインドネシア軍2000人に米兵士2000人などが参加している。
東カリマンタン州が演習地域に選ばれたのはインドネシア政府が進める首都移転先が東カリマンタン州の内陸で2045年の完工を目指していることから、「新首都の防衛」との狙いが込められているという。
今回の演習は、米下院のナンシー・ペロシ議長が台湾を訪問し、反対してきた中国が台湾周辺海域で大規模な軍事演習を実施して台湾に圧力をかけるというタイミングと結果的に重なった。
中国空軍の戦闘機が台湾海峡の中国と台湾の中間線を越えて侵入するなどの挑発が続いたことも重なり、「スーパー・ガルーダ・シールド」の演習に参加した各国にも、中国の一方的に緊張を高める動きに対し、改めて警戒感を強める結果となっている。
トップ写真:米海兵隊と共同軍事演習を行うインドネシア海軍特殊部隊インドネシア・スラバヤ(2015年1月1日) 出典:Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images
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