ペロシ訪台の陰で“敗北”した人民解放軍
Japan In-depth / 2022年8月8日 18時0分
また、8月2日までに、空母2隻、遼寧号が青島港を、山東号が三亜港を出港したと伝えられた。ところが、台湾海峡到達に間に合わなかったのである。こちらは、中国海軍が空母を迅速に展開できないことを示す象徴的な出来事となった。
写真)中国初の空母「遼寧号」(2018.5.13)
出典)Photo by Getty Images
一方、米軽空母トリポリは、第5世代戦闘機「F-35B」を搭載して日本の周辺部から南下し、沖縄、宮古海峡、台湾北東部の空域を制圧した。中国軍の第4.5世代戦闘機「J-16」等では、米軍の「F-35B」に対抗するのは難しいだろう。
また、米原子力空母ロナルド・レーガンは南シナ海からフィリピン海に入り、台湾南東部の海域と空域を制圧している(ただし、ひょっとして、7月28日の米中首脳会議で、ペロシ訪台の際、解放軍は一切、手を出さないという“合意”がなされていた可能性も捨て切れない)。
さて、8月2日、新華社は、突然、台湾周辺6地域を区切り、中国軍が8月4日から7日まで、これらの海域と空域で実弾演習を行うと発表した。しかし、ペロシ議長は8月3日、すでに台湾訪問を終えている。これは、あくまでも習政権が“面子”を保つための行動だろう(なお、その軍事演習については別稿に譲りたい)。
中国は極超音速中距離ミサイル「東風17号」等、台湾海峡周辺でミサイル試射の準備を進めている。だが、今度の海峡危機で、中国軍は自らの軍事能力を露呈してしまった感は否めない。
ところで、近頃、中国の短編動画プラットフォームで、ある動画が流れた(c)。この映像は、ペロシ議長が無事、台湾を訪問したが、中国軍機が同行しなかった事について、中国軍関係者が解説したモノとされる。
実は、ペロシ議長機が無事に台北松山空港に到着した時、中国軍の(第5世代戦闘機)「Su-35」は離陸したばかりだったという。
実際、中国戦闘機が台湾付近上空を飛行している間、台湾はペロシ議長の到着を生中継していた。これも米軍の強力な電子対策能力を証明するものだろう。
軍事筋によると、台湾はペロシ機の機種、位置、人員をあえて世界に発信した。台湾は電子遮蔽、電子対決能力が極めて高く、中国軍では敵わないという事を示している。
他方、米空母等から発する電磁波が、中国の「北斗衛星導航系統」(中国が独自に展開している衛星測位システム)を撃破したという。
結局、今度の台湾海峡危機で、中国軍は米軍に“敗北”したと言えるかもしれない。
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