バイデン政権はロシアにもっと強硬に
Japan In-depth / 2022年8月23日 16時0分
〇アメリカは核戦力ではロシアと互角の水準にある。非核の通常戦力ではアメリカはロシアよりはるかに優位にある。しかしバイデン政権はあたかもアメリカ側の軍事能力がロシアよりも弱いかのようにふるまっている。その結果、プーチン大統領はアメリカがウクライナにより強力な軍事支援を供することを抑止することに成功してきた。
〇ウクライナでの戦闘ではロシア軍はすでに戦車1000台以上を失い、6万人以上の戦傷者を出した。今後ウクライナ軍がこれまでよりも強力な戦術ミサイル・システムなどをアメリカから得れば、ロシア側の敗北は確実となる。だがバイデン政権はなおロシア側の自暴自棄的な反撃を恐れて、その種の兵器のウクライナへの供与をためらっている。このロシア認識は変えるべきだ。
写真)ウクライナのキエフで繁華街に展示されている燃え尽きたロシアの軍用車両を見る市民ら(2022.8.22)
出典)Photo by Alexey Furman/Getty Images
以上、要するにプーチン大統領はいざとなればアメリカとの全面戦争をも辞さないような強気の言動をみせてはいるが、それはたぶんに演技あるいは、はったりであり、実際にはアメリカの軍事能力の優位を認め、自国の安全保障保持のためには合理的な判断を下して、アメリカやNATOと全面衝突するような方途は選ばない――という分析だといえる。だからその分析はバイデン政権がプーチン大統領のその真の姿を読みとれず、必要のない譲歩や後退をしているのだ、という批判につながるわけである。
☆この記事は日本戦略研究フォーラムの評論サイトに掲載された古森義久氏の寄稿論文の転載です。
トップ写真:インフレ削減法について発言するバイデン大統領(2022.8.16)
出典:Photo by Drew Angerer/Getty Images
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