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中国で地方政府同士のバトル勃発

Japan In-depth / 2022年8月25日 11時17分

ただ、海南島に取り残された多数の観光客は、チャーター便の不足や県市町村の調整問題で、帰省に際し困難な状況が続いたのである。


一方、8日14日、海南省政府は上海市の隣、江蘇省政府に「航空機離発着の緊急調整に関する書簡」という文書を送付した(d)。それが、翌15日、ネット上に流出している。


その書簡は、海南省が江蘇省に対し、もし立ち往生した観光客の受け入れを拒否し続けるなら、中央政府(国務院)に報告するという内容だった。


海南省は、江蘇省の一部都市が三亜市の旅行客を受け入れようとしないため、海口空港に多くの乗客が殺到し、飛行機が離陸できなくなったと主張している。そして、「貴省(江蘇省)に対し、緊急に関連都市とチャーター便の調整を行い、その結果を本省(海南省)に回答するよう要請する」と明言した。


また、文書は国務院が以前、命令した《海南省に足止めされた旅行客の適切な帰路業務に関する通知》―各省は海南省と協力して、帰路標準に合致する旅行客を受け入れなければならない、チャーター便の回数と旅行客の数量を制限してはならない、旅行客の順調な帰路を確保する等―を引用している。


その後、『鳳凰衛視』が江蘇省政府に電話したところ、当直員は海南省から同書簡が届いたのを確認した(e)。けれども、江蘇省は、「一時的にフライトの回数が増えたので、人員が足りず離陸できなかった。現在、それに対処しているところだ」という。


一見、以上2つの事件は偶然のように見えるかもしれないが、中国共産党内の長年にわたる省市間対立を反映している証し(f)だという。


上海市は中央政府直轄市であり、経済一級都市であり、国際金融センターとみなされている。そのため、多くの地方や都市が羨む、利点と華やかさを備える。


しかし、今回、上海市がロックダウンされ、経済が低迷し、自由貿易区としての地位が脅かされた。そして、多くの上海市民がコロナとロックダウンを恐れて海南省へ逃げ込んだ。だが、そこからすぐに帰れなくなったのは“皮肉”以外、何物でもないだろう。


〔注〕


(a)『VOA』


「三亜市、新型コロナでロックダウンを実施、公共交通機関も運休」


(2022年8月6日付)


(https://www.voachinese.com/amp/chinese-tourist-hot-spot-imposes-covid-lockdown-shuts-public-transport-20220806/6689478.html)。


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