新説「李上習『不』下」の可能性
Japan In-depth / 2022年8月27日 18時0分
この李首相の岸田総理への慰問電話には、大きな意味が隠されているかもしれない。もしかすると、今秋、首相の“昇格”を示唆しているのではないだろうか。
ところで、現在、習主席は中国共産党の“死の道”を歩んでおり、同党崩壊の「加速師」と名付けられた(e) 。他方、李首相は、共産党を死なせず“延命させる道”を歩み、「延命師」と呼ばれている。
したがって、同党内では、これからも習政権が継続すれば、中国経済は破綻し、北京政府が崩壊するという“コンセンサス”がすでに形成されているのではないか。
実際、中国経済の停滞は、失業保険支出増大や若年層(16〜24歳)失業率の数字を見ても明らかだろう。
人力資源・社会保障部によれば、6月の失業保険基金支出は371億9000万元(約7438億円)に達した(f)。これは、昨2021年同月比の3.6倍であり、2013年、月毎データの記録開始後、最高水準である。
他方、8月15日、国家統計局は、7月の全国経済実績に関するデータを発表した(g)。それによると、同月の都市部における若年層の調査失業率は19.9%で、前月から0.6ポイント上昇している。この数値は統計局が2018年1月に同指標を公表して以来、最も高い数値となった。
このような厳しい経済情勢下、次のような噂が囁かれている(h)。
8月16日、李首相が深圳市で鄧小平の銅像に花を捧げ、「『改革・開放』路線を堅持する」方向性に変わりはないと宣言した。そこで、一部の情報筋は「李上(アップ)習下(ダウン)」は必至だと推測している。つまり、秋の第20回党大会での「李首相の総書記就任、習主席の退位」である。
だが、別の情報筋は、北戴河会議で「習派」と「反習派」が妥協し、「李上(アップ)、習不下(非ダウン)」と考えている。李首相は総書記に就任するが、習主席は党大会後も、国家主席と軍事委員会主席にとどまるという可能性を指摘した。そして、習主席は“3期目”に「台湾問題」を解決するという。
〔注〕
(a)『中国瞭望』「権力闘争? 李克強は深圳で鄧小平に敬意を表し、習近平は北上して国共内戦を記念する」(2022年8月17日付)
(https://news.creaders.net/china/2022/08/17/2516198.html)
(b)『中国瞭望』「北戴河会議終了後も、中国政局は依然、不透明だ」(2022年8月24日付)
(https://news.creaders.net/china/2022/08/24/2518328.html)
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