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フランス バスの運転手不足

Japan In-depth / 2022年9月5日 23時5分

ルシヨン市長自身も、この事態を新学年が始まる前日に知った。しかも、運転手不足が3日で解決できるのか、長期で続くのか、今後の予測がつかない状況だ。


 


バスの運転手不足は新型コロナウイルスの流行で悪化


今までにもバスの運転手不足はあった。しかしながら、問題があればその都度、運転手が見つかるまでのあいだ町の消防隊などに助けを頼むなどしてどうにかできる程度の問題であった。しかし、今年は相当の人数の運転手が不足となり、まったく対応しきれなくなったのである。その大きな要因となったのは、新型コロナウイルスの流行である。


新型コロナウイルスの流行中に外出制限が行われたり、学校が遠隔授業になったりした結果、スクールバスの運転手の仕事が激減した。それにプラスして、コロナに感染するリスクも高いことなどもあり転職する運転手が相次いだのだ。さらに、マクロン政権になってから職業訓練のシステムも充実し、転職しやすい環境が整ったという背景もある。


そこで、レストランやホテル従業員やバスの運転手らをはじめ、外出制限で仕事ができずに家に閉じ込められている間にオンラインで勉強して転職活動を始める人が増加した。また、家にいる時間が長くなり家族と過ごす時間の大切さに気づいて転職活動を始めた人もおり、新型コロナウイルスの流行中に、前例がないほどの数の人が離職したのだ。


レストラン業界だけでも15万人の従業員が転職した。2021年7月には、2019年7月と比較して20%以上多くの退職が記録され、同期間の早期退職の数は25%増加。だが、一度離れたらそれが最後。


レストラン従業員やホームヘルパー、教師、バスの運転手といったような、低賃金だったり、厳しい労働条件だったり、非難を受ける可能性があるような職についていた人は、コロナの流行が収束しても元の仕事には戻ってこなかったのである。その結果、今年のフランスの第2四半期の求人数は355400人となり、前年最終四半期と比較して約75%増加する結果となった。


低賃金で魅力的ではない仕事に人員が集まらないという問題に直面しているのはフランスだけではもちろんない。ドイツ、オランダ、米国などのすべての西側諸国は、採用の問題に直面している。しかし、フランスが突出しているのは、これだけ人手不足で求人が増えても失業率が依然として高いことだ。



写真)マクロン政権が取り組む職業訓練の整備も低賃金の職の人手不足に拍車をかけている。


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