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安倍晋三氏を悼むアメリカ その3 日本の「異端」を減らす努力 

Japan In-depth / 2022年9月19日 18時0分

安倍晋三氏を悼むアメリカ その3 日本の「異端」を減らす努力 




古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)





「古森義久の内外透視」





【まとめ】





・安倍晋三氏は「保守派」より、「改革派」だった。





・日本の戦後の異端と戦い、国を正常な状態にするのが安倍晋三氏の目標だった。





・憲法作成でのアメリカ側の最大の狙いは日本を永遠に非武装にしておくことだった。





 




私にとって安倍晋三氏とのかかわりで、さらに強い記憶として残るのは彼が亡くなる2ヵ月ほど前の2022年4月末に一対一の語りあいを一時間半近くにわたり持てたことだった。この会話の内容は月刊雑誌の「正論」の2022年7月号に詳しく掲載された。元総理との対談というのはおこがましかったが、安倍氏の方から自由に議論するためにインタビューではなくて、あえて対談にしようと言われ、恐縮したものだった。


この対談で安倍氏が最も熱をこめて語ったのは憲法改正という政治目標だった。


ところで安倍晋三氏といえば、すぐに使われる言葉は「保守派」である。だが私はむしろ安倍晋三氏は「改革派」だったと思う。改革とはいま目前にあるシステムを変えようとすることだろう。多数派の人たちの意見に少数の立場から反論を唱える。これも改革だろう。この点で安倍氏の政治的主張は全体としては改革であり、刷新だったといえる。


同時に安倍氏は現実主義者だった。世界の現実を見て日本の実態に反映させていくという一貫性があったと思う。


安倍氏が一体、なにを目指したのか。


簡単にいえば、日本の戦後の異端、とくに日本が国際基準とくらべて違う国なのだという、この異端と戦い、その状況を正常とか通常と呼べる状態にすることこそ、彼の目標だったといえる。


戦後の日本はふつうの主権国家、独立国家とは異なる部分がある。簡単にいえば、自国を防衛することを基本部分で禁じられているのだ。自国の国家安全保障に対する自縄自縛の禁制ともいえる。その原因は占領アメリカ軍が作った日本国憲法である。この異端は正常な独立国家としては明らかな基本的な欠陥である。


安倍氏は若いときからこの欠陥に気づき、それを是正して日本を正常な国にしようと意図していたことを私もかなり早い時期から知ることとなった。


私は日本国憲法に関しては占領米軍を代表してその草案をわずか10日間で書き上げた米軍人チームの実務責任者、チャールズ・ケーディス陸軍大佐(当時)にその30年ほど後に長時間、インタビュ―して、往時の実情を詳しく聞いたことがある。


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