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日本はインド、トルコにも目配りを!

Japan In-depth / 2022年9月22日 23時0分

ロシアとウクライナの対立の背景には、そうしたプーチン大統領の野望が存在していたのだ。もし再編できればプーチン大統領は旧ソ連邦の領土を取り返した英雄になれると夢想していたわけである。


しかし、現実は旧ソ連が統治していた多くの国々は、逆にNATOに加盟し、ロシアを脅かす存在になってしまっているのが実情といえる。ウクライナもまたNATOへの加盟を期待しロシアのから離れようとした国の一つとみられたため、プーチン大統領はウクライナへの侵攻を行ったといえよう。


現在の国際情勢は、大国アメリカと中国、そしてロシアの三極構造の中で準大国の新興勢力が独自の外交を行ない、存在感をみせているところに大きな特色がある。


その典型がインドとトルコだろう。


インドは元々数千年の歴史を持つ文明国家だった。そのインドは産業革命に乗り遅れ、途上国のような存在になっていたが、いまや人口14億1千万人を抱える世界第2位の人口大国で、国土面積も世界7位と最近の成長は著しい。おそらく23年に世界最多の人口になり、50年には16億6.8千万人に達し、中国を大きく上回ると見られている。それは、国力の基本が人口の数にあることは幾多の歴史が証明しているところだ。インド人は中国の華僑と同様に海外に多くのインド系の人々が存在し“印僑”と呼ばれ、その数は3千万人以上といわれる。


また、インド人は理数系の頭脳に優れていることでも知られる。近代のインドは長く貧困国とみられ中国との紛争問題も発展のネックとみられていたたが、最近になってアメリカが主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」にアジア太平洋の14ヵ国の国と共に参加している。さらに中国の海洋進出に対応するため今年9月に日本とインドの外務・防衛閣僚会合を開き、日本とインド空軍の共同訓練の推進でも合意している。


日米豪印4ヵ国の首脳会議(QUAD)にも参加し、インド太平洋地域の中心的存在としても振舞おうとしている。それは全方位外交の伝統を持ち、とりわけロシアとの関係が深いインドを民主主義陣営に繋ぎ止める狙いもあるようにみえる。


一方、最近力をつけているトルコを取り込むためアメリカはトルコへのF16戦闘機の売却に同意するほか、武器輸出の制約を解除するという。また、トルコがテロ組織として敵視するクルド系組織への支援も停止する意向のようだ。さらに、スウェーデンとフィンランドのNATOへの新規加盟に、当初トルコは反対していたが一転して加盟を承認した。







▲写真 トルコのエルドアン大統領と会談するプーチン大統領(ロシア・モスクワ、2020年3月5日) 出典:Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images


トルコとインドは、世界の2000年余の歴史の過程で何度も主役として登場したことがある。いわば“眠っていた獅子”がむっくりと立ち上がってきたともいえる。


しかもインドとトルコは歴史的にみても日本との関係が深く、ともに大の親日国でもある。日本がインド、トルコと手を組んでアジアに新しい波を起こせば、日本はアジア太平洋だけでなくインド、中東にも新たな存在感を持つことになろう。


トップ写真:G7サミットに出席するインドのモディ首相(ドイツ・ガルミッシュ=パルテンキルヒェン、2022年6月27日) 出典:Photo by Thomas Lohnes/Getty Images


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