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米中対立とASEANの立場

Japan In-depth / 2022年9月26日 11時0分

(以下、引用)


基本的に、ASEAN諸国は米中の間で“均衡”を保つ必要があるだろう。したがって、この地域における米国の影響力増大を歓迎している。だが、だからと言って、ASEANはインド太平洋戦略の下での日米印豪の「QUAD」や米英豪の「AUKUS」のような戦略的安全保障に焦点を当てた軍事プレゼンスを望んでいる訳ではない。


他方、中国は常に「ウィン・ウィン」外交の原則を掲げているが、「弱肉強食」・「大魚が小魚を食べる」という伝統的な戦略感覚から脱却できていない。


また、中国はたとえ「国際ルール」があっても、「核心利益」については一歩も譲る気がない。南シナ海や台湾問題に対する北京の態度を見ればわかるが、絶対に「核心利益」は守るという考え方がはっきりしている。


会議の中で、地域大国・中国に対して、ASEAN各国は「中国と共存しながら、自分の立場を貫く」というベトナムの元外交官の原則が引用されている。


(引用おわり)


これが、ASEANの現実なのではないだろうか。


実際、既存の世界秩序は、深刻な問題に直面している。しばしば、米国は中国が国際ルールを破っていると非難する。だが、米国の対中貿易戦争・半導体戦争などによって、米中両国こそが世界を「無秩序」な状態へと進化・発展させている面も否定できないだろう。







▲写真 米-ASEANサミットで演説する米ハリス副大統領(2022年5月13日、米国・ワシントンDC) 出典:Photo by Chip Somodevilla/Getty Images


中国は、世界に対し「中華秩序」(かつてジョン・フェアバンクが唱えた「中国的世界秩序」の拡大版)の支持を求める。しかし、米国はこれを受け容れない。そのため、米中超大国間の対立が表面化し、世界に不確実性をもたらしている。一方、中国は米国の世界的支配を受け容れず、ロシアと共に新しい世界秩序を形成するよう協力し合っている。


ところで、地政学的に、インド太平洋地域に対する米国の影響力不足は否めない。そこで、米国の多くの学者が、インド太平洋地域における中国の“挑戦”に対処するため、米軍に対し平時の準備態勢を改善するよう求めている(c)。


ある研究者は、米軍は中国との競争に対処するための準備が十分ではないと主張する。米国の政策立案者は常備軍の平時訓練を強化し、戦時のギャップを埋めるため、同盟国間で情報を共有するシステムを確立すべきだと提言している。特に、平時において、米国は同盟国と一緒に共通の相互研究システムに統合する方法を見つける事が、軍隊の創造性を豊かにするのに役立つのではないかと指摘している。


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