10日ぶりに姿を現した習近平主席
Japan In-depth / 2022年10月3日 13時4分
第2に、このセミナーでは、他の軍首脳部も習主席について一切触れず、主席への忠誠心を表明しなかった。
第3に、9月29日、国防部の定例記者会見での質疑応答で、軍の習主席に対する態度が急変している。
国防部報道官は、習主席の前に必ず「党中央や中央軍事委員会」というフレーズを置いて答えている。また、同報道官は、解放軍の機構や人事などの改革について詳しく説明したが、具体的な「習主席」や「習近平思想」への言及はなかった。
これまで、習主席に寄り添っていた観のある軍が、今や習主席から距離を置き始めたように見える。
さて、10月1日の「国慶節」を前に、9月30日、習主席は、“ノーマスク”で政治局常務委員をはじめ、要人を率いて天安門広場に向かい、記念塔に花籠を捧げた(c)。
習主席は強力に推進・固執した「ゼロコロナ政策」をあっさり放棄したのである。主席は同政策で次期党大会を乗り切ろうとしていたのではなかったのだろうか。
同日の「国慶節レセプション」では、政治局常務委員7人全員と王岐山(国家副主席)が円卓を囲み、外部に結束力をアピールした(d)。だが、誰にも笑顔はなかった。他方、夜のレセプションでは、元老達が一斉に欠席している。
最後に、昨年10月1日付『人民日報』での習主席の重要文章 (e)と今年10月1日付『人民日報』の同文章 (f)を比較してみよう。
前者には「すべての党員同志は『四つの意識』を高め、『四つの自己確信』を固める」というくだりがある。ちなみに、「四つの意識」とは、政治意識、大局意識、核心意識、一致意識であり、「四つの自信」とは、中国の特色ある社会主義の道への自信、理論への自信、制度への自信、文化への自信を指す。いずれも習主席の好む言葉である。
しかし、後者には、「四つの意識」「四つの自信」というフレーズが見当たらない。これでは、習主席の権威を貶めるのではないだろうか。
このような状況下で、習主席が次期党大会で無事3期目の総書記に就任できるのか、大きな疑問符が付く。
〔注〕
(a)『万維ビデオ』「習近平が噂を払拭するために登場した後、李克強の連続した行動は意味深長」(2022年9月29日付)
(https://video.creaders.net/2022/09/29/2530700.html)
(b)『万維ビデオ』「かつて『習主席』に密着していた軍も、突然態度を変える」(2022年9月29日付)
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