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アメリカの対中強固政策いつまで?

Japan In-depth / 2022年10月11日 18時0分

バイデン政権もトランプ前政権の主要政策はほぼすべて逆転してきたが、対中政策だけは例外となった。当初はトランプ前政権が安倍晋三首相の発案を容れて看板政策とした「自由で開かれたインド太平洋」という表現を「安全で繁栄したインド太平洋」と替えていたが、すぐにトランプ政権の標語を踏襲してしまった。以来、バイデン政権も一貫して「自由で開かれたインド太平洋」という政策標語を大々的に掲げ続けている。


この超党派の中国への強固な姿勢はなぜ生まれたのか。そしてこれからはどのように続いていくのか。このあたりの疑問への答えは日本の針路にとっても大きな意味を持つ。そこをアメリカの民主、共和の歴代政権で対中政策を担当してきた現ジョージワシントン大学教授のロバート・サタ―氏に尋ねてみた。


サタ―氏は国務省、国家情報会議、中央情報局(CIA)などの中国担当部門で通算30年以上、専門官として在勤してきた。その経験を基にいまのワシントンでの中国への認識や政策を説明してくれた。


サタ―氏はまずいまのワシントンの対中態度を「ワシントン・コンセンサス(政策一致)」と特徴づけた。行政と立法が団結した「全・国政的対応」とも評する。国政全体の機能が中国への姿勢では一致する、というわけだ。そして強固で鋭利な対中政策はこんごも揺らがないと明言したのだった。


ではこの対中ワシントン・コンセンサスはどう始まり、定着したのだろうか。


サタ―氏はこの点の解説をすでに複数の外交雑誌で発表してきたが、改めて問いただしてみた。同氏の見解は以下の骨子だった。


▽現在のアメリカの中国への強固な全・国政的対応はトランプ政権が2017年12月に発表した国家安全保障戦略が出発点だといえる。同戦略は中国がアメリカの基本的な国益を侵し、同盟国との離反を図り、グローバルな脅威であることを初めて明記した。


▽だがトランプ大統領はその後、対中関税問題に過剰に踏み込む一方、習近平主席への個人的な親近感を表明して、対中政策が揺らいだ。この状況に対してアメリカ議会の民主、共和両党の有力議員たちが共同で強固な対中政策の堅持と強化を推した。


▽議会超党派の中国抑止の姿勢は2020年冒頭からのコロナ大感染でのアメリカ国民の中国非難の激化でさらに堅固となった。超党派の対中連帯はバイデン政権下でも保たれ、同政権が今年夏に成立させたインフレ削減法などの中国抑止部分に共和党議員の相当数が賛成した。


サタ―氏は以上のようにとくにいまのアメリカの対中強固策の耐久性、持続性を強調するのだった。つまりアメリカの中国に対する強硬で頑固な姿勢は当面、変わる気配はない、という趣旨である。


この点は日本側の一部の「アメリカが突然、対中和解に変わり、ハシゴを外されたらどうするのか」という懸念を解消させるかもしれない。


トップ写真:オンラインで会談するバイデン大統領と習近平国家主席(2021年11月15日 ホワイトハウス)


出典:Photo by Alex Wong/Getty Images


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