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なぜ党大会で胡前主席は途中退席したのか

Japan In-depth / 2022年10月27日 18時0分

第19期常務委員の中で残留したのは、習主席に忠誠を誓ったと言われる趙楽際(来年、全人代委員長か)王滬寧(同、政治協商会議主席か)だけだった。


胡前主席の「共青団」の有力者、汪洋・胡春華は“蚊帳の外”となっている。他方、李首相は次期中央委員にも入らなかった。そのため、来年3月で完全引退となる。


これらを総合的に考えれば、おそらく「反習派」の“総大将”は胡前主席だった公算が大きい。他方、そのバックには、江沢民元主席が存在した事はほぼ間違いないだろう。そして、胡前主席や江元主席ら元老らに支持されていたのが、李首相だった。


けれども、「反習派」は水面下での“死闘”に敗れた結果、“総大将”の胡前主席は、 海外メディアの前で、“晒し者”にされたと見るべきではないか。そのため、前主席は、党大会から退出させられるという前代未聞の辱めを受けた。


周知の通り、中国人は何よりも「面子」を重んじる。場合によっては、命より「面子」が大切である。


今回の一件は、胡前主席にとって、人生最大の屈辱だったのではないだろうか。そればかりではなく、今後、前主席は、「6・4天安門事件」で失脚した趙紫陽総書記のように、軟禁生活を送らざるを得なくなるかもしれない。ひょっとすると、李首相も前主席と同じような運命を辿る可能性も排除できない。


クーデターを起こそうとした「反習派」に対し、習主席による凄まじいまでの報復である。しかし、過剰な報復措置を取れば、党内からの反発がますます強くなるのではないか。それが、結局、習主席に跳ね返る恐れもあるだろう。


そうでなくても、中国経済は悪化の一途を辿っている。本来ならば、今は経済を第1に考える必要がある。


北京は、党大会中、突如、今年第3四半期GDPの公表を延期した。だが、党大会が終わるとまもなく、何の前触れも、発表会もなく、数字を発表(b)している。前年同期比で3.9%、前期比で同じく3.9%である。


もし、これが修正していない元の数字だとしたら、決して悪くはない。そのまま公表すれば良かったと考えるのは我々だけだろうか。いったん、数字の公表を延期したのは、数字がかなり悪かったからだ、と疑われても仕方がない。


経済破綻が中国共産党政権を崩壊させないとも限らないだろう。やはり、習主席は中国共産党「死の道」への“加速師”なのかもしれない。




 




〔注〕


(a)『中国瞭望』「マルチカメラが暴露!AFP、胡錦濤が連れ去られたことを詳報」(2022年10月22日付)


(https://news.creaders.net/china/2022/10/22/2538742.html)


(b)『国家統計局』「2022年第3四半期GDP速報値」(2022年10月24日付)


(http://www.stats.gov.cn/tjsj/zxfb/202210/t20221024_1889502.html)








 








トップ写真:退席する胡前主席 出典:Photo by Lintao Zhang/Getty Images


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