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フランスの根深い人種差別問題

Japan In-depth / 2022年11月8日 7時0分

その後、ヤエル・ブロンピベ議長が、「その対象が誰であれ、人種差別は議会でわれわれを一つにしている共和国の価値観に反している」と結論づけ、大多数が処分に賛成した。


結果、フルナス氏は、15日の登院停止と2か月の議員報酬半減という、議会規則の中では最も重い処分を受けることとなったのだ。


 


共和国の価値観を共有するのがフランスの規則


この判断はかなり重要なことでもある。なぜなら、巷の日常であたりまえのように行われている人種差別的な発言が、今回、議会というテレビでも生中継されていた公の場で再現されたうえ、発言した側が「フランスの価値観に反している」と処罰されたからである。


やじを飛ばされた側のビロンゴ氏も、「この発言に対して制裁を待っているフランス人は何百万人もいる」と述べていた。実際、フランス生まれのフランス人であっても、肌の色などを理由に、日常的にこういった侮辱的な差別発言に苦しめられることが多いからである。


また、フランス共和国にとって重要とされている「フランスの価値観」が再認識されることにもつながった。フランスは共和国の価値観を共にすることで市民共同体を構築している国だ。しかし、今までは一方的に移民や、移民の2世、3世に「フランスの価値観の違反」が投げかけられることが多かった。その結果、「多文化主義」は否定され、たとえ移民の2世、3世であっても排除される傾向が問題になっていたのである。


しかし「フランスの価値観」を共有するというのは、土着系フランス人のみを尊重することを指しているわけではない。同じ価値観を共有し、市民共同体となり市民としての連帯を促すことが目的なのである。


だからこそ模範を示すべき議会においてフランスの価値観に反する言動は許されることではなかった。その強い意志が、今回の重い処分につながったと言えるだろう。「フランスの価値観の共有」の意味を正しく伝えるためにも、重要な事例になったことは間違いない。


参考リンク


◆France Info:『国会での人種差別発言:「彼らは私を侮辱し、私に似た何百万人ものフランス人を侮辱している」とカルロス・マルテン・ビロンゴ議員が発言』


Propos racistes à l'Assemblée nationale : "On insulte ma personne, on insulte des millions de Français qui me ressemblent", déclare le député Carlos Martens Bilongo


◆BFM TV : 「議会での人種差別事件:ルネサンス、RN副代表の辞任を求める請願を開始」


Incident raciste à l'Assemblée: Renaissance lance une pétition pour la démission du député RN


◆Le Parisien : 「グレゴワール・ド・フルナス:RN議員の古い人種差別的なツイートが再浮上」


Grégoire de Fournas : d’anciens tweets racistes du député RN refont surface - Le Parisien


トップ写真:イメージ 


出典:Photo by Owen Franken/Corbis via Getty Images


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