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ブラジル大統領選 ボルソナロ氏が選挙結果を受け入れたわけ

Japan In-depth / 2022年11月10日 18時0分

■ “ボルソナロ変身”は大きな驚き





大統領選のさ中、ボルソナロ氏が「ブラジルの電子投票では不正選挙が行われる」などと主張し、自身が勝利しない限り選挙結果を受け入れないとの強硬姿勢を見せていたことから、同氏が決選投票で敗れた場合にはトランプ前大統領支持者による米連邦議事堂襲撃事件のような混乱が起きる可能性が指摘されていた。





それだけにブラジル国内はもとより海外でも、“ボルソナロの変身”(サンパウロ有力紙「フォーリャ」電子版)は大きな驚きと受け止められている。サンパウロの有力メディアの間では「ボルソナロ氏は選挙結果への抗議デモがどのように展開されるか見守っていたが、決定的な広がりがなかったことから抗議行動への支持を断念した」「自身の有力な支持者だったリラ連邦下院議長が選挙結果に異議を唱えない旨いち早く表明したことが大統領にとって大きな打撃となった」といった分析が取りざたされている。





ちなみにブラジルでは下院議長は大統領、副大統領に次ぎ国政のナンバー3とされている。また、ボルソナロ大統領が次期副大統領候補に据えたネット氏(元国防相)が選挙結果判明後の早い段階で政権移行を口にしたことも、大統領の決定に影響したとの見方もある。





■ 楽観できないボルソナロ派の動き





米国の中南米問題のシンクタンク「インターアメリカン・ダイアログ」(IAD)の専門家は、今回のブラジル大統領選決選投票の結果が投票終了後3時間弱で発表され、多くの時間を要した2020年の米大統領選と比べ、非常に速かったことがボルソナロ大統領のその後の判断につながったようだと述べている。





この専門家によれば、投開票作業や結果判明がスピーディーに行われたため、ブラジル国内や海外からルラ候補当選への支持が表明され、ボルソナロ大統領が抗議行動を展開する時間的余裕がなくなった可能性が高いという。





さらに、ブラジルの電子投票システムが比較的すぐれている点を指摘する向きもある。同国では2000年の選挙から電子投票を本格的に導入。この投票・集計技術は海外でも高く評価され、ブラジルが外国に売り込む技術の有力アイテムの一つになっているほど。ボルソナロ大統領が自国の電子投票システムへの不信を声高に叫んだのとは裏腹に同システムへの信頼度は全般に高く、これが内外で選挙結果が尊重される重要な要因になったと言っていいかもしれない。





ボルソナロ大統領が今回の選挙結果を事実上認めた格好で、今のところ、抗議デモは収まっている。しかし、来年1月1日の新大統領就任式まで混乱が発生しないという保証はない。





ボロソナロ派は下院で大幅に勢力を伸ばしたうえ、サンパウロ州など重要な州知事選で自派の候補を当選させることに成功しており、勢力は全く衰えていない。ブラジルはかつてないほど左右両派への二極化が進み、社会の分断が深刻化しているだけに、新政権発足が近づくにつれボロソナロ派の動きに一段と警戒感が高まることが予想される。





(了)





トップ写真:アルボラーダ宮殿で敗北の後会見するボルソナロ大統領(2022年11月1日 ブラジル・ブラジリア) 出典:Photo by Andressa Anholete/Getty Images




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