比テロ組織10人投降 壊滅に近づく
Japan In-depth / 2022年11月10日 23時0分
このほか2016年にはカナダ人やドイツ人夫妻を誘拐して身代金を要求する人質事件を起こしている。身代金交渉が暗礁に乗り上げてたドイツ人は斬首などの残酷な方法で殺害され、カナダ人は人質解放作戦中に「アブサヤフ」戦闘員によって殺害されるなど南部地域は外国人観光客にとって世界有数の危険地帯となった。
2017年には当時の「アブサヤフ」指導者イスニロン・ハピロン容疑者のミンダナオ島南ラナオ州マラウィ市内の隠れ家を治安当局が急襲したが逮捕に失敗し、以後同市を武力占拠下に置いて武装抵抗を続ける事態となり、国際社会の注目ニュースとなった。
マラウィ市の「アブサヤフ」とインドネシアのテロ組織「ジェマ・アンシャルト・ダウラ(JAD)」などの同調組織戦闘員らによる武装占拠は同年10月にイスニロン容疑者の殺害からほどなく終了し、同市は解放された。
2019年1月にはホロ島ホロ町にあるカソリック教会で2度の爆発が起き、死者22人、負傷者100人以上となった。爆発は自爆によるテロで実行犯はインドネシア人夫妻で「アブサヤフ」と共謀したテロだった。
■ 壊滅作戦は着実に効果と軍
今回投降した戦闘員のうち7人は11月4日に小銃と拳銃6丁を投降時に差し出し、政府軍との戦闘に参加した戦闘員とみられている残る3人は同じ日にライフル2丁、弾倉2つ、弾薬21発を持参して投降したという。
軍によると今回投降した「アブサヤフ」の戦闘員10人は「政府軍との戦闘や逃避に疲れた」と話しているという。
「アブサヤフ」戦闘員らのメンバーは2000年11月末から12月初旬にかけても39人が軍に投降しており、増減はあるものの戦闘による殺害、逮捕に加えて今回のような投降と壊滅作戦は着実に効果を挙げている、と軍は強調している。
「アブサヤフ」の近年の指導者でホロ町のカソリック教会自爆事件を首謀したとされるハティブ・ハジャン・サワジャーン容疑者に関して軍諜報機関は2020年の軍との銃撃戦で死亡したとしているが、その遺体は現在まで確認されていない。
6月30日に就任したフェルディナンド・マルコス大統領はテロとの戦いを継続する姿勢をみせており、今後本格的な「アブサヤフ」壊滅作戦が進むことが期待されている。
トップ写真:フィリピン国軍参謀総長は、アブサヤフのリーダーの写真を指差す(2002年6月21日フィリピン南部・サンボアンガ市) 出典:Photo by Gabriel Mistral/Getty Images
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