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アメリカ中間選挙の読み方 その2 勝者はだれなのか

Japan In-depth / 2022年12月2日 9時59分

「私たちは下院議長のナンシー・ペロシ氏を解任した」


マッカーシー議員は下院の次期議長就任を確実視される共和党代表として民主党側の指導者ペロシ議長への勝利を宣言したのだった。 


長身で頑健な体躯のマッカーシー議員は州全体では民主党支持層の多いカリフォルニア州の第20区の選出、州南部のロスアンジェルスに近いベイカーズフィールド市を中心とする地域で2006年以来、下院選での当選を重ねてきた。2022年11月の今回の選挙では民主党の対抗馬を2倍近い得票数で破り、9回目の連続当選を果たした。


マッカーシー議員は政治的には堅固な保守である。ドナルド・トランプ氏を2016年の同氏の大統領選初出馬から熱心に支持してきた。2020年の大統領選挙後もトランプ氏の「不正選挙」の主張に同調し、FBI(連邦捜査局)によるトランプ氏の別邸への家宅捜索にも「不当捜査」として反対してきた。


そんなトランプ支持の議員が下院での共和党の勝利を宣言したのだ。しかも民主党側でトランプ氏へのすべての面での反対を叫んできたペロシ下院議長を敗者と断じたのである。この現実は日本の主要メディアが描く「民主党の善戦」とか「トランプ氏の敗北」という構図とは異なっていた。


マッカーシー議員のこの勝利宣言は中間選挙の投票日、そして開票日の11月8日から10日間も過ぎた時点での発表だった。得票数の集計にこれほど時間がかかるのは前述のように膨大な数の郵便投票のためだった。


下院全議席合計435のうちの過半数218を共和党側議員が獲得したことがやっと確認されたのだ。下院のこれまでの議席構成は民主党222、共和党213だった。与党の民主党が多数を占め、下院全体の運営を主導してきたのだ。だが民主党はその多数派の座を失った。


ここで強調しておかねばならないのはアメリカの連邦議会では上院でも下院でも過半数を1議席でも越えて多数派の地位を得た政党の側が議事運営のほぼ全権を手中に握れることである。 


2023年1月3日からの第118会期の新議会の下院では議長がまず共和党となる。そして下院に存在する外交、軍事など広範囲の議案や決議案を審議する合計20の委員会、インテリジェンスや気候変動などと取り組む合計5つの特別委員会の委員長もすべて共和党議員が占める。


要するに下院全体の運営の主導権が多数派の共和党の手に入るのだ。共和党が下院全体としてどんな課題を審議するかを決めて、バイデン政権が出す法案にも下院全体としての反対を打ち出すこともできる。


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