仏、電力不足で停電の危機
Japan In-depth / 2022年12月5日 12時57分
Ulala(著述家)
「フランスUlalaの視点」
【まとめ】
・フランスでは今年の冬、電力不足により停電になる可能性がある。
・原因は原子炉設備の腐食や干ばつ、今冬予想される寒さなど。
・計画停電に備え、停電の全国テストが行われる予定。
フランスの今年の冬は、電力不足により突然のブラックアウト(突然の停電)になる可能性も出て来たため、電力が許容量を超える場合は計画停電を実施することが発表された。また、TF1で3日に行われたエマニュエル・マクロン大統領のインタヴューでは、電力が不足した場合は計画停電を行う必要があるとしたうえ、それでもあくまでも仮定の話であり、パニックにはならないで欲しいと説明された。
この冬、フランスが電力不足になった理由
もともと2022年のフランスは、電力生産にとって転換期であった。というのも、2021年の12月に出力1450MW規模で比較的新しい3基の原発の冷却水のステンレス鋼配管に腐食や腐食割れが発見されたのだ。さらに2022年に入って他の2基でも見つかったため、より精密な検査のため一時停止された。その後、他の原子炉にも同様の問題がないか調査することとなり、最終的に56基のうち、29基が保守点検のために停止されたのだ。この結果、電力の生産量としては過去30年間で最低の水準にまでおちることとなった。またさらに、この夏は干ばつも重なり、フランスは電力を輸出していた立場から電力を輸入する立場にもなっているのだ。
それに付け加え、気象学者が2022年12月〜2023年2月の期間は、平年より寒い冬となる確率が60%であると試算している。そこで、電力消費量のピーク時に十分な電力量が確保できない可能性がでてきたのだ。
1978年12月19日に大規模な停電が発生した時も、寒波の影響により電力消費量が大幅に増加した。1978年の突然の停電時はイタリアとドイツから電力を輸入し4時間後には復旧したが、信号は突然消えて道は混乱し、エレベーターに閉じ込められる人が出たり、電車が突然止まるなど、国全体に大きな影響が広がり大パニックとなった。
計画停電は、そういった状態にならないように備えるためなのである。
計画停電の内容
計画停電が必要な場合は、まず3日前にその可能性が警告されることになる。そして、計画停電の実施が決まった場合は、前日の午後5時頃に決定され、午後9時半ごろに計画停電される地域が発表される。
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