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ラオス・中国高速鉄道 問題山積

Japan In-depth / 2022年12月9日 9時45分

ラオスではそれまでタイ東北部のノンカイ駅からタイ国境から約5.2キロにあるラオスのタナレン駅までの3.5キロを運行する鉄道しかなく、高速鉄道は流通や観光促進、人の移動スピード化などラオス政府の大きな期待を担って2021年12月3日に開通し、翌4日から旅客輸送を開始した。


首都ビエンチャンから中国国境のボーデンまで414キロを約3時間半で走るこの高速鉄道はボーデンから国境を越えて中国のモータン駅に接続し、その路線は雲南省昆明まで繋がっている。


中国側は「国境を越えて中国の鉄道網と繋がった初めての海外鉄道である」としてラオスの高速鉄道完成を歓迎している。


それには中国側が約60億ドルの建設費の大半を負担し、鉄道運行技術や車両も中国製であり「中国のラオス鉄道」と周辺国からは呼ばれているという。


貨物列車は時速120キロで運行され、旅客車両は時速160キロで1日2便が運航されている。


この1年間に高速鉄道を利用した旅客数は中国側の発表では中国での運行区間が述べ720万人、ラオス国内の区間で130万人となっている。


■切符購入が困難な状況も


ラオス国内での高速鉄道利用は高速鉄道が珍しいこともあり人気が高く、切符入手が困難な状況となっているという。このため切符を大量に買い占めたダフ屋や仲介業者、詐欺師が横行して定価よりかなり高額で売りつける事態も報告された。


このためラオス鉄道当局などは切符販売を1人3枚まで、運行の3日前から発売することを決めたほか、モバイルアプリを介するオンラインでの販売方式の導入も開始している。


■中国の遠大な構想


中国は国内の鉄道網がラオスの首都ビエンチャンにまで通じたことを受けてさらにビエンチャンからタイ国境を越えてタイ国内の鉄道網に連結し、その後タイの首都バンコクを経由してミャンマーの南部ダウェイまでを繋ぐ鉄道網を整備する構想を抱いている。


ダウェイはアンダマン海洋への港湾都市として有名で、この鉄道網が完結すれば中国はアンダマン海経由でインド洋への海洋拠点を確保することも可能となる。


バンコクからはタイ、マレーシアを経由して最終的にシンガポールまで鉄道網はすでに整備されていることから、中国は東南アジアでの鉄道網整備を進め、人と物資の輸送を強化して「一帯一路」により東南アジアで自国の権益拡大の一助としようとしていることは明白だ。


東南アジアの中ではラオスとカンボジア、ミャンマーが最も親中国の立場を鮮明にしている一方でマレーシアやフィリピン、インドネシアなどは中国による経済的野心への警戒感を抱きながらも中国の経済援助や投資に頼らざるを得ないという現状がある。


ラオス運輸当局にある中国への不満がどこまで深刻化して高速鉄道が中国への輸出で均衡を取り戻すことができるのかが問われている。


トップ写真:ラオスと中国を繋ぐ高速鉄道 出典:Photo by GanzTwins/Getty Images


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