空自戦闘機が比クラーク基地訪問飛行
Japan In-depth / 2022年12月9日 23時0分
常設仲裁裁判所は審理の結果2016年に「九段線とその囲まれた海域に対する中国が主張してきた歴史的権利は国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」との判断を下した。しかし中国政府は一貫してこの判断を無視し続けて現在に至っている。
一方南シナ海の環礁、島嶼を巡ってはフィリピンのほかにもマレーシア、ベトナム、ブルネイなどが領有権を主張して中国と対立している。
米や豪などの艦艇や航空機が九段線内は国際海域であるとして航行、飛行する「航行の自由作戦」を実施し、中国が強く反発するなど南シナ海は緊張が続く海となっている。
特にフィリピンは南シナ海で中国の海警局船舶による漁船や民間船舶に対する進路妨害や放水銃による放水などの危険と隣り合わせの状況が続いている。
アルベルト国軍西部本部長は12月6日にパラワン島リサールの北西にあるイロコイ礁付近で2022年初めから中国の民兵が乗り込んだとみられる中国船数十隻が集結を続けていることを明らかにし、フィリピン政府が外交ルートを通じて中国側に抗議しているという。
また米海軍は11月29日に第7艦隊所属のイージス巡洋艦「チャンセラービル」が南シナ海南沙諸島近海で「航行の自由作戦」を実施したことを明らかにした。
中国政府はこれに対し「中国領海に侵入した米巡洋艦を追い払った」と発表したが、米軍側は「それは誤った発表である」と反論する事態となっている。
さらに11月22日には米カマラ・ハリス副大統領がフィリピンを訪問した際、南シナ海に面する南部パラワン島を訪問し比沿岸警備隊などを視察した。
現地でハリス副大統領は「国際的なルールに基づく秩序がどこか一カ所で脅かされればそれはあらゆる場所で脅かされることになる。違法で無責任な行動に対しては同盟国や友好国と結集する」と述べて直接の名指しこそ避けながら中国を強く牽制した。
F15の飛行に合わせてフィリピンを訪問した空自の井筒俊司幕僚長は地元メディアに対し「日本近海や南シナ海では力による一方的な現状変更の試みが続いている。空自はこうした事態を深い懸念を以って注視している」と中国を念頭に警戒感を示し、米やフィリピンなどとの関係の深化とさらなる発展の重要性を強調した。
フィリピンのコニー・アンソニー・カンラス空軍参謀長も日本に対して「もはや日本は私たちと同盟関係にある」と今回の空自戦闘機訪問を歓迎する意を示したと現地メディアは伝えている。
トップ写真:南カリフォルニアの空を飛ぶF-15
出典:Photo by DG303Pilot/Getty Images
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