米欧景気後退なら中韓経済に打撃 【2023年を占う!】アジア経済
Japan In-depth / 2022年12月21日 18時0分
中国を除くアジア途上国については、2022年の定期補完版で若干の上方修正、2023年のそれでは下方修正をしている。
表2)GDP成長率とインフレ率
出典)アジア開発銀行 2022年12月段階GDP成長・インフレ予測 資料を基に編集部作成
東アジアに関しては、2022年と2023年の定期補完版とも下方修正。香港の2022年予測については、定期補完版で-3.3%成長としている。一方、インドに関しては、7%台の高成長維持と見ている。
東南アジア諸国連合(ASEAN)では、マレーシア、フィリピン、ベトナムが2022年に6%台から7%の高成長を維持するが、2023年にはフィリピンとベトナムが6%台成長へ、マレーシアは4.3%成長に減速するとしている。
シンガポールの2023年は2.3%と低成長、大国インドネシアの2022年と2023年の定期補完版の成長率予測は5.4%、4.7%。タイはそれぞれ3.2%、4.0%。
定期補完版での2023年のインフレ率に関しては、タイの2.7%、シンガポールの5.5%、インドネシアの5.0%などと幅がある。
定期補完版でのアジアの新興市場国の成長率予測に関しては、2021年実績、2022年予測、2023年予測の順で、中国が8.1%→3.0%→4.3%、インドが8.7%→7.0%→7.2%、ASEAN6か国(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム)が3.3%→5.5%→4.7%成長と予測している。韓国では、中央銀行である韓国銀行が11月24日、2023年の経済成長見通しを従来の2.1%から1.7%に下方修正している。
アジア開発銀行のシニア・エコノミストであるM・ランザフェイム氏らは、同行ウェブサイトの「世界的な不況寸前か」と題する質疑応答形式のブログの中で、“戦後に世界的な景気後退が起きたのはリーマン・ブラザーズの経営破綻後の2009年の金融危機時と2020年のコロナ禍時だけ”としながら、「景気後退のリスクは高まっている」と現状について警鐘を鳴らし、「米国、欧州で景気後退が起きると消費が落ち込み、アジアからの輸出が影響を受ける。特に、中国、韓国、シンガポールが打撃を受け、アジアのサプライチェーンに大きな影響を及ぼす」と懸念している。
トップ写真:上海陽山深海港のコンテナヤード
出典:pat138241/GettyImages
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