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統計に細工を施す中国共産党

Japan In-depth / 2022年12月26日 13時36分

▲グラフ4:中国の「全国不動産開発投資」 出典:国家統計局





そして、<グラフ4>と<(表付き)グラフ5>を見比べると、累計値が単月値よりも小さい。つまり、中国共産党はGDPのおよそ20%以上を占めるという「全国不動産開発投資」の落ち込みを、できるだけ小さく見せようとしているのは明らかではないだろうか。









▲表付きグラフ5:「全国不動産開発投資」の実際の累積合計値を単月ずつに計算





ところで、なぜ中国共産党は以上の如く、統計に小細工を施すのか。ここで、ごく簡単な考察を試みよう。





第1の仮説として、(社会主義、共産主義を含む)全体主義の宿痾である「隠蔽体質」を指摘したい。





確かに、世界中、どこの国の政府や公共機関も程度の差こそあれ「隠蔽体質」を持つだろう。けれども、自由なマスメディアがそれを暴く。ただ、全体主義国家は、しばしば自由なマスメディアを抑圧し、「隠蔽体質」の政権に堕する傾向がある。





現在の中国では、マスディアが共産党の「喉と舌」と成り下がり、北京政府のプロパガンダ機関となった。これでは、マスメディアによる政府の「隠蔽」暴露は難しいだろう。





第2の仮説として、「面子」の問題を取り上げたい。





中国人の民族性として、面子を重んじる点は強調しても、し過ぎることはないだろう。中国人は、場合によっては、死よりも面子を失う事を恐れる。特に、習近平政権は、非常に面子を重要視しているのではないだろうか。





仮に、今年の「固定資産投資額」が急落していれば、習主席の面子が“丸つぶれ”となる。したがって、面子を保つためにも、統計数字に細工を施す必要があるのではないか(同時に、既述の通り、外資導入も困難となる)。





第3の仮説として、「孫子の兵法」を挙げたい。





周知の通り、中国人は、敵を欺くために脅迫・賄賂・ハニートラップ等を行う。他方、敵に自らの事を知られないよう工夫する。そのため、国家の重要な統計さえも改竄したり、隠蔽したりする事があるだろう。今度の場合、改竄ではなく隠蔽だが、小細工してもすぐに真実は露見してしまう。





結局、中国は、以上、3仮説が入り混じっているのではないだろうか。





トップ写真:高層マンションが立ち並ぶ上海の様子(中国・上海、2008年03月21日) 出典:Photo by Tim Graham/Getty Images




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