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米中戦争は起きるのか

Japan In-depth / 2023年1月6日 11時0分


写真)APEC首脳会議での習近平(バンコク、2022年11月19日)


出典)Photo by Lauren DeCicca/Getty Images


 アメリカ側ではそんな中国の動きの野望に備えて、軍事面でも経済面でも戦いの構えをも固め始めた。すでに米中開戦前夜と呼べるような空気がアメリカ側の国政の場でも感じられるのだ。


 とくに台湾に対する中国の軍事的な威嚇や実際の攻撃力の強化はアメリカ側にも台湾有事としての軍事的な緊張の対応を生んでいる。台湾をめぐる米中両国の戦争は現実的なシナリオをみなされるにいたってきたのだ。



写真)中国の侵攻を想定した台湾の軍事訓練 (2022年7月28日)


出典)Photo by Annabelle Chih/Getty Images


 しかしアメリカ側では中国に対して軍事での戦争に限らず、経済や政治、外交などで断固として中国の動きを抑えようという闘争の構えが強くなった。


 そしてアメリカ側のその決意の背後にはこれまでとくに経済面で関与や交流を重ねてきた中国との絆を絶っても構わない、という主張までが広がってきた。


 アメリカ議会の動向をみても、実際に中国との経済や政治の交流を最小限にする対中切り離し論が輪を広げ、提出される法案の内容にまで反映されてきた。独裁がますます強化された習近平氏支配下の帝国のような中国の新政治体制に対する絶縁状の叩きつけとも評される動きもみられるのだ。


 アメリカでは周知のように2022年11月に連邦議会の大部分を改選する中間選挙が実施された。その結果、与党の民主党と野党の共和党が激しくぶつかり、予想以上の熱戦を展開した。バイデン政権への不満や要望も新たに表明された。


 だがアメリカ全体としての中国に対する姿勢はこの中間選挙戦では主要な争点とはならなかった。民主党も共和党も中国に対してはこんご対決を覚悟の強固な政策で接していかねばならないという意見の一致があったからだ。この一致は「ワシントン対中コンセンサス」とも呼ばれる。


 


 私は米中関係のこうした現状と展望を旧知のアメリカ人国際関係研究者との共著という形で本にまとめた。アメリカがなぜ中国を危険視するのか、他方、中国はなぜアメリカを敵視するのか、という基本点をまず調査し、報告したうえで、こんごの予測を試みた総括である。同時に中国は日本をどうみるのか、も主題の一部として位置づけた。日本にとっての中国問題とはなんなのか、を日米両方の視点から考察することも試みた。


 その共同作業のパートナーはアメリカ側で米中関係や中国の動向をまず経済安全保障の観点から長年、追ってきた著名なエコノミストのクライド・プレストウイッツ氏である。



写真)クライド・プレストウィッツ氏


出典)ClydePrestowitz.com


 この報告の集大成として彼と私との対論という形式をとった。双方の報告や主張の交換だが、対談と呼ぶにはそれぞれの発表が長く深いため、共同討論という意味での対論という表現が適切に思えるからである。


 そして総括としてはプレストウイッツ氏と私がそれぞれアメリカと日本が中国の脅威に対してこんごなにをすべきかを提言することにも努めた。


 この記事は自己の著書の紹介でもあるが、その背景には米中関係の緊迫という日本の目前にも迫った危機が影を大きく広げており、その危機についての警告が主旨である。



図)「米中開戦前夜」古森義久、クライド・プレストウィッツ著


ビジネス社


 


トップ写真:アメリカと中国の国旗


出典: cybrain/GettyImages


 


 


 


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