北京政府に反発する地方政府
Japan In-depth / 2023年1月8日 11時0分
第5は、重慶市だが、同市も爆発的な感染者数に見舞われた大都市となった。
第6は、山東省青島市で1日約50万人の新規感染者が増えたと報告している。
12月23日、青島市衛生健康委員会は、『半島都市報』で同市での新規感染者数は1日あたり49万〜53万人だと明かした。
ところが、山東省は、新規感染者は31人と公表している。『半島都市報』の報道はいくつかの通信社に転載されたが、12月24日朝には元の報道が修正され、感染者数が削除されている。
第7は、広東省東莞市である。12月24日、同市当局は「東莞市の感染のピークが近づいている」と発表した。同市の感染者数は1日に25万~30万人の規模で、急速に増加しているという。
また、12月22日の時点で、東莞市の公立病院や社会保健機関で働く医療従事者のうち、2528人がPCR 検査や抗原検査が陽性、または発熱していた。
第8は、浙江省衢州(くしゅう)市(e)である。
12月28日、衢州市の陽性累積数は21万例となっている。同月21日に最高(2万5375例)を記録した。また、衢州市は、同市全体の感染率は全人口の30~35%程度だと指摘している。
ところで、今回、なぜ地方政府は中央政府の意向に背く数字を公表したのか。
第1の理由として、12月7日、中央政府が突然、コロナ規制を緩和したからではないか。地方政府にとっては「寝耳に水」で、防疫の準備期間がなかった。そのため、地方は感染爆発を避けられなかったのだろう。
第2の理由として、中央政府が北京市の惨状に見かねて、各地から医療スタッフを北京市へ派遣するよう求めた。
けれども、地方では医療関係者数が不足し、病院等の医療機関は患者の対応に追われている。医療従事者すら、大部分がコロナに感染している地域もある。それにもかかわらず、習近平政権は、地方政府に医療スタッフの北京派遣を強要した。
実は、北京は全国で最も医療スタッフが多い地区で、2021年には人口1000人あたり医師5.64人、看護師6.47人が免許を取得し、いずれも中国平均の2倍以上(f)だった。地方から反発が起こるのも無理はないだろう。
一方、地方政府の動きについては「反習派」が関与している可能性を捨て切れない。おそらく、習政権の面子を潰すことがその目的なのではないか。
〔注〕
(a)『FRA』「中国公式内部通報:全国では20日間で2億4800万人がコロナに感染」(2022年12月22日付)
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