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カリスマ公務員が生まれたワケ 秦野市④「高岡発ニッポン再興」その45

Japan In-depth / 2023年1月11日 11時0分

ハコモノ30パーセント削減計画を打ち出していることから、新規のハコモノは採算性が重要だ。その意識が職員の間でも浸透し、知恵が出てくるのだといいます。


さらに、古谷さんや志村さんは、市民に対しても丁寧に説明しました。なぜ数値目標が必要で、それを実行しなければならないのか。そしてそれを先送りすると、次世代に大きな負担になるという説明です。こうした説明は効果が出ました。アンケート調査によれば、ハコモノ削減大作戦は、市民の70パーセントほどが賛成しています。


志村さんはハコモノ削減をこう総括します。


「私たち現在の市民は、将来の市民に対し無責任であってはなりません。子や孫の世代に大きな負担を押し付けないために、今私たちができること、しておかなければならないことがあります。そこから逃げてはダメなのです」
元地方創生担当大臣の石破茂さんも秦野市の取り組みを高く評価する一人です。『日本列島創生論』でこう表現しています。


「秦野市のような自治体と、いまだにハコモノを作る発想から抜けない自治体とでは、将来は大きな差がついてしまうのは明らかです。後者は、一時的には大きな建物を建てて、景気が良い気分になれるかもしれませんが、そういう無駄なものがどうなったか。すでに墓標のような建物は全国にあるでしょう」


墓標のような建物といえば、私は、北海道の夕張市の遊園地や博物館を思い出します。夕張市は結局、ハコモノの重荷に耐えられなくなって破綻したのです。


夕張市は決して他人事ではありません。人口減少という忍び寄る有事の今、将来の市民のためにサンドバッグとなっても闘えるかどうか。公務員の覚悟、そして首長のリーダーシップが問われています。


(シリーズ完 ①、②、③はこちらから)


トップ写真:秦野市役所に誘致したコンビニ(筆者提供)


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