クロアチア、ユーロ導入
Japan In-depth / 2023年1月15日 11時0分
■ シェンゲン協定
また、22年12月8日にはEU域内で移動の自由を認める「シェンゲン協定」にクロアチアが加盟することが決まった。国境を越える移動の際に出入国管理が不要となる。クロアチアへのシェンゲン協定加盟国からの観光客は全体の75%を占めており、プレンコビッチ首相は「我が国経済にとって有益であることは明白だ」と力説した。
EUはロシアのウクライナ侵攻もあり、バルカン半島重視の姿勢を強めている。東欧5カ国のうちブルガリアは24年のユーロ導入を目指しており、経済安全保障の観点からもこの地域の存在感が高まるものとみられる。
■ 暖冬の恩恵
ウクライナ危機が続く中、ユーロ圏では昨年秋、冬を控えてエネルギー供給不足が懸念されていたが、1月中旬の本稿執筆時点では予想外の暖冬や米国および中東・北アフリカからの液化天然ガス(LNG)輸入の拡大、消費者の節約志向の徹底などを背景に「暗くて寒い冬」という最悪のシナリオはどうやら回避できそうな見込みだ。
ユーロ圏主要国のフランスでは、停止していた原子力発電所2基の稼働再開や市民のエネルギー消費の節約率がEU目標の15%を超え、20%台に達したことから、エネルギー供給に余裕が生じ、余った分を近隣諸国に輸出している。
また、ユーロ圏全体で天然ガスの在庫が予想以上に増えていることも安心材料と言えよう。こうした中でガス供給の割り当てという事態は避けられそうだ。
ただ、冬はまだ終わっておらず、厳しい寒波が押し寄せれば、暖房用のエネルギー不足が生じる可能性も否定できず、予断を許さない状況だ。
ユーロ圏ではエネルギー供給への根強い懸念を背景としたサプライサイドが主因のインフレ圧力が続きそうだ。
ユーロ圏のインフレ率は昨年10月、過去最高を更新し、10.7%に達した後、22年中にピークを付けたもようで、今後、緩やかに低下するとみられる。
(了)
トップ写真:クロアチアのユーロ導入を歓迎するバナー(2022年7月12日、ベルギー・ブリュッセル)出典:Photo by Thierry Monasse/Getty Images
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