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検査はもはや有効ではないのか?イギリスのコロナ対策

Japan In-depth / 2023年2月1日 18時0分

具体的には、ヨーロッパ9か国(イギリス、クロアチア、スイス、ノルウェー、スウェーデン、チェコ、アイルランド、デンマーク、リトアニア)におけるデータを用いて、ワクチン接種率および検査頻度がコロナ感染による致死率(CFR)に与える影響を評価した。これらの国は、コロナによる患者数および死亡者数の3割程度の減少に貢献したと報告されているワクチンパスポートを、2022年2月11日時点で導入していなかったヨーロッパの国々である。なお、当時の流行株の主流はオミクロン株であった。単変量解析の結果、ワクチン接種率とCFRの間に強い負の相関が見られた一方で、検査頻度はCFRに統計的に有意な影響を及ぼしていないことが明らかとなった。





結果として、ワクチン接種の取り組みが、検査頻度の充実よりも、CFRの低減に寄与することが示唆された。ワクチン接種率が上がっている現在、CFRに注目すれば、デルタ株と比較して潜伏期間が短く、重症化率の低いオミクロン株では、頻回な検査は感染対策として有効であるという、これまでのコンセンサスが通用しなくなった可能性も示唆される。とはいえ、これはあくまでecological studyに過ぎないため、因果関係について断定することは困難であり、解釈には注意が必要である。





あくまでイギリスの政策では、感染者を増やさないことではなく、コロナと共存するために、死者数を増やさないための対策に、完全に舵を切っているように私は感じている。BBCの健康関連の最新ニュースを開いていても、コロナ関連ニュースは規制されているのかと思うほど情報は多いとは言えない。私がエディンバラ大学在籍中より、週に一度は大学から必ずメールで届いていたと言っても過言ではない、コロナ関連の最新情報も、今年に入ってからは一件も届いていない。友人はイギリスに向かう飛行機の中で、“マスクを着けているのは自分も入れて二人しかいない”と言っていた。ご年配の方々が、多少コロナへの感染を心配されているような雰囲気こそあれ、多くのイギリス国民は、指摘されている医療の逼迫とは裏腹に、“もうコロナは終わった”、と感じているのではないだろうか。





一方で、現在のイギリスの医療の状況は深刻である。ここ10年で最悪と言われているインフルエンザの流行と、新型コロナウイルスの冬の流行とが重なり、現在イギリスでは、急患を搬送した救急車の40%以上が、患者の受け渡しのために30分以上待たされていると言われる状況である。そして、そう指摘されながらも、看護師や救急隊員もストライキを決行し、医師会でもストライキを決行するかどうかの投票が行われているというのだから、驚くばかりだ。現状を鑑みる限り、イギリス政府、そしてNHSは、コロナ対策において、十分に国民をリードできていないと言えるだろう。





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