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前大統領追及どこまで 軍の動向カギ 〜議会襲撃事件で揺れるブラジル 〜

Japan In-depth / 2023年2月1日 23時0分

ルラ政権はボルソナロ氏の追及に躍起になっているが、世論は必ずしも、全面的に賛成ではない。


大手調査機関「ダタフォリャ」が先ごろ公表した世論調査結果では、93%が襲撃に「反対」と回答したものの、ボルソナロ氏に「大きな責任がある」は38%、「少しは責任がある」は17%で、39%は「全く責任はない」と答えている。「議会などへの襲撃には正当な理由がある」との回答が38%に上ったとの世論調査結果もある。


昨年の大統領選で左派候補のルラ氏の得票率は50.9%、右派候補ボルソナロ氏が49.1%とわずか1.8ポイントの僅差だったことに象徴されるように、ブラジル社会の分断状況が鮮明になっている。ルラ政権がボルソナロ前大統領をとことん追い詰めれば、逆に右派の結束が強まり、政権にとって“逆風”になるとの見方も出ている。



写真)大統領就任式のために国民議会に向かう際、ロサンジェラ夫人とともに支持者に手を振るルラ氏(2023年1月1日 ブラジル・ブラジリア)。


出典)Photo by Andressa Anholete/Getty Images


 


■ 軍に不信も、対応には慎重-ルラ大統領


ルラ大統領は議会などへの襲撃事件に関し「軍の一部が共謀したと確信する」と述べ、軍に対する不信感をあらわにしているが、その一方、軍への対応には慎重な姿勢で臨むようだ。


ボルソナロ前大統領がもともと軍出身であり、軍内部には前大統領への親近感が根強いことはブラジル専門家らによってしばしば指摘されている。ボルソナロ前政権下では多くの軍幹部が要職に起用された上、報酬面で好待遇を受けており、軍人の中にはあからさまに「ボルソナロ支持」を口にする者もいるという。ルラ大統領はこのほど、ボルソナロ支持者らが集まっていたテントの排除命令に従わなかったとして陸軍司令官を解任したが、今のところ、軍との対立を意図的に避けている印象だ。


現地メディアの報道によると、ルラ大統領は陸空海の三軍幹部との最近の会合では襲撃事件には全く言及せず、最新鋭の戦闘機や兵器購入、原子力潜水艦の開発など軍の近代化計画についての議論に終始したという。「ルラ大統領が軍の懐柔に動いても、軍内部の親ボルソナロ・ムードは一朝一夕にはなくならず、今後も緊張関係が続く」(ブラジリアの政治アナリスト)とみるのが自然だろう。襲撃事件の余波はまだまだ続きそうだ。(了)


トップ写真:ボルソナロ前大統領の過激な支持者が引き起こした大統領府での暴動後、瓦礫を撤去する作業員ら。(2023年1月9日 ブラジル・ブラジリア)


出典:Photo by Andressa Anholete/Getty Images


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