1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「惻隠の情」を高岡に 「高岡発ニッポン再興」その53

Japan In-depth / 2023年2月9日 5時7分

「惻隠の情」を高岡に 「高岡発ニッポン再興」その53


出町譲(高岡市議会議員・作家)





【まとめ】


・日本経団連会長、奥田碩さんの言葉が強く印象に残っている。


・「惻隠の情」とは、他人に同情する気持ち、人をあわれむ心。


・ネット社会に暮らす日本人一人ひとりがこういう時代だからこそ、惻隠の情をもって他人と接しなければならない。


トヨタ自動車の社長交代は大きなニュースとなりました。日本最強企業の14年ぶりのトップ交代。長年、トヨタ自動車を率いてきた豊田章男さんが社長の座を譲るだけに、話題性たっぷりです。新社長のかじ取りで、トヨタがどうなるのか。それは、日本経済を左右します。


そんなニュースが流れる数日前、私は東京で、経団連関係者に会いました。私が2005年に経団連担当記者だったころ、親しくさせていただいた方です。


その経団連関係者と話題になったのは、日本経団連会長、奥田碩さんのことでした。奥田さんはトヨタ会長。「何も変えないことが最も悪いことだ」といい、大企業病に陥っていたトヨタ自動車を改革しました。ハイブリッドカーの「プリウス」をトップダウンの判断で発売しました。


  日本経団連会長は当時、経団連と日経連が統合してできたばかりでした。奥田さんは初代会長として辣腕を発揮していました。経済財政諮問会議のメンバーで、小泉総理の時代、構造改革を推進する一方で、歯に衣着せぬ発言をしていました。小泉総理の靖国神社参拝については、控えるよう求め、当時、極秘で訪中。胡錦濤・中国国家主席と面談しました。政界にも、大きな影響力を持っていたのです。また、月刊誌に「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」という論文を投稿。経営者に社員をリストラするなと呼びかけ、話題になりました。


 その経団連関係者は「奥田さんの時代は、経団連が最も存在感があった」と振り返りました。事務方が記者会見の想定問答をつくっても、奥田さんは読まず、自分の考えを素直に話していました。その発言は一面トップになったのは、数知れず。私も担当記者として、刺激的な毎日を送らせていただきました。


  その奥田氏は現在、90歳。表舞台から遠ざかっています。今は、奥さんと一緒に施設に入っていると言われていますが、経団連関係者が「奥田さんがインタビューに答えた最後の雑誌だと思います」と言って、私に2017年6月の「月刊経団連」という雑誌をくれました。


 この雑誌には、当時の経団連会長の榊原定征さんのほか、名誉会長の豊田章一郎さんなどのインタビューも載せています。奥田さんはそこに印象的な言葉を残しています。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください