1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

米・日への中国人留学生問題

Japan In-depth / 2023年2月20日 7時0分

中国共産党にとって、(スパイ活動は別にしても)中国人留学生が、世界最先端科学技術を誇る米国で学ぶ事ができないのは、将来、大きな痛手になるのではないか。


そこで、中国人の学生は次善策として我が国を目指している(e)。日本は、米国には及ばないにせよ、先進的科学技術が発達しているからだろう。他方、日本の一部大学では、積極的に中国人留学生を受け入れようとしている。けれども、それは、米国同様、日本の安全保障上、必ずしも好ましくない傾向かもしれない。


ところで、かつて、中国人学生の日本留学ブームが3度あった(f)。


1回目は、19世紀後半、日本の明治維新による「近代化」を学ぶためである。特に、日清戦争(1894年~95年)後、日本に関心を持つ中国の若者が急増した。その中には、周恩来(明治大学政治経済科<現、政治経済学部>に通学したという)や廖承志(父・廖仲愷と母・何香凝の子供で、東京の新宿区大久保で生まれた。いったん、帰国して中山大学で学ぶが、留学のため再来日)がいる。


2回目は、1979年から始まった「改革開放」以降である。中国の若者が先進国・日本の優れた知識を得て、自らの能力を高めようとした。


3回目は2010年以降で、「80後(80年代生まれ)」「90後(90年代生まれ)」「00後(2000年代生まれ)」の学生である。中国国内に一部富裕層が生まれ、日本への私費留学が容易になったためだろう。


ちなみに、日米欧を目指す中国人留学生は、中国の「学歴社会」を反映している。例えば、北京大学や清華大学などの「重点大学」(有名大学)を卒業すれば、良い就職先を見つけやすい。だが、そうでない大学の卒業生の場合、コネがないと就職が困難である。そこで、箔を付けるために海外留学する。できれば、修士号取得が望ましいのではないだろうか。


〔注〕


(a)『The Wall Street Journal』


「米の中国人留学生ビザ発給、コロナ前水準から半減」


(2022 年 8 月 12 日付)


(https://jp.wsj.com/articles/chinese-student-visas-to-u-s-tumble-from-prepandemic-levels-11660261836)。


(b)『Redian新聞』


「米国移民税関法執行局の最新データ:留学生が再び100万人を超えたが、中国人留学生は3割近く激減」


(2022年2月2日付)


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください