インドがミャンマー軍政に武器供給
Japan In-depth / 2023年3月3日 11時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・ミャンマー軍政にインドが武器の部品を供給していることが明らかに。
・背景には、ミャンマーへの影響力を維持したいインドのナレンドラ・モディ政権の意向がある。
・ミャンマー活動家はインドの武器供与は「間接的にミャンマー市民らの殺害に関与」しているとして非難。
軍事政権による民主政権復活を目指して武装闘争を続ける市民らへの弾圧が続くミャンマーに対して、インドが武器の部品を供給していることが明らかになった。
これはミャンマーの反軍政運動を続ける活動家らのグループ「ジャスティス・フォー・ミャンマー(ミャンマーの為の正義=JFM)」が3月1日に発表した報告書「砲身供給を通じたミャンマー軍の暴虐へのインドの支援」に基づくもので、報告書によるとインドの企業「ヤントラ・インディア・リミテッド」社は2022年10月にミャンマー軍の122ミリ榴弾(りゅうだん)砲に転用される砲身20門を輸出している。
AFP通信によるとこの時ミャンマーに輸入された砲身は計33万ドル(約4500万円)で中心都市ヤンゴンにある「イノベイティブ・インダストリアル・テクノロジー・カンパニー・リミテッド」社が受領していた。
122ミリ榴弾砲は2022年12月のカチン州のバモーやパッカン郡区で起きた市民への無差別砲撃にも使用されている。
こうしたことからJFMでは「インド政府は直ちにミャンマー軍政への武器転用が可能な部品の供給を中止すべきだ」としている。JFMによるとインドは「国際武器貿易条約」の締結国ではないという。
★中国に対抗するインド
またJFMによるとインドの「サンディープ・メタルクラフト」社はミャンマーの警察が関係する民間会社に信管を販売した実績があるという。ミャンマーで信管を受領したのは「クリエイティブ・エクスプロレーション・リミテッド」という民間会社で同社は警戒監視用の製品も扱っており、軍政とは密接な関係にあるとみられている。
さらにミャンマー市民を支援する「ミャンマー特別諮問委員会(SAC-M)」の最近の報告でもインドの「ソーラー・インダストリーズ・インディア・リミテッド」社は2021年までにブースター、起爆キャップ、点火装置、電子起爆装置などをミャンマーに供給したことが明らかになっている。
このようにインドの企業が砲身の部品や信管などの「武器への使用や転用が可能な品」を供給し、それが軍政による武装市民抵抗組織である「国民防衛軍(PDF)」などとの戦闘に使用されている背景には、インド政府とミャンマー軍政の密接な関係があるという。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
ランキング
-
1【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
NEWSポストセブン / 2024年11月25日 7時15分
-
2池袋暴走事故の飯塚幸三受刑者(93)が死亡 松永拓也さん「後悔や経験の言葉を託された。死を無駄にしたくない」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 11時38分
-
3バイクパーツに「打倒県警」 SNSで集まり少人数ゲリラ化 暴走から空ぶかし「コール」合戦に 急増する騒音通報に沖縄県警「検挙は難しい」理由は
沖縄タイムス+プラス / 2024年11月25日 8時30分
-
4高市早苗氏はいつ「タカ派政治家」になったのか…「ポスト石破」に一番近い女性政治家の"克服すべき弱点"
プレジデントオンライン / 2024年11月25日 8時15分
-
579歳の男が大家に包丁突きつけ「刺してやる」 ステレオの音が大きいと注意されたことに腹を立て 札幌市
STVニュース北海道 / 2024年11月25日 7時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください