沖縄の玉城知事の奇妙な対中姿勢
Japan In-depth / 2023年3月10日 18時0分
――という諸点をあげた。
だがこれらの「理由」はいずれも中国の軍事態勢に詳しい専門筋の見解とはなんの関係もない。さらに当事者の中国の台湾に関する声明や実際の軍事動向をも無視している。
しかし玉城知事は中国の台湾軍事侵攻はないという独自の見解に基づき、日本政府の最近の防衛費増額、反撃能力の保持、沖縄近くの南西諸島への自衛隊のミサイル配備など、中国の軍事脅威の抑止のための措置のすべてに反対を表明した。玉城知事はその理由として「かえって軍事緊張を高める」とか「先制攻撃の意図があると思われる」など、日本側の措置が軍事緊張を高めると断じる立場を一貫して述べ続けた。
そして玉城知事は日本の安全保障のためには軍事力、防衛力ではなく、その他の手段が必要だとして、「平和的外交」「対話」「信頼回復」という標語を繰り返した。
しかし玉城知事のこの演説で沖縄を含めての日本の安全保障状況の悪化が中国側の一方的な軍事攻勢を原因として起きていることへの言及は一度もなかった。中国の軍事増強や台湾への軍事威嚇という危険な状況を生んだ中国の危険な動きにはまったく触れず、日本やアメリカがその中国の軍事脅威に対応して、やむをえず抑止の措置をとっているという現実にも言及はなかった。要するに中国に対する批判的な言及は皆無だった。
とくに顕著なのは沖縄県の知事として沖縄県内にある尖閣諸島周辺の日本領海や接続水域に中国海警局の武装艦艇が頻繁に侵入してくる事実にまったく触れない点だった。日本の安全保障、沖縄の安全保障にとって目にみえる切迫した軍事脅威なのに、みごとに無視するのである。玉城知事のこの態度は中国には決して批判的な言動はとらないという原則でもあるかのように、あまりに奇異な偏りだった。
なおこのシンポジウムは玉城知事がアメリカ国民への訴えという趣旨を掲げていたが、会場が大学構内ということもあってか、6,70人の参加者の大多数は学生ふうの若者で、しかもアジア系の若い男女がほとんどだった。
トップ写真:沖縄県知事選挙での勝利の翌日、朝日新聞の取材でのデニー玉城沖縄県知事(2018 年 10 月 1 日にインドネシアの沖縄県那覇市)
出典:Photo by The Asahi Shimbun/Getty Images
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