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習近平政権3期目のサプライズ人事

Japan In-depth / 2023年3月17日 23時0分

実は、もう1人、新政権でのサプライズ人事があった。それは、魏鳳和を引き継いだ李尚福(65歳)新国防相(d)である。李尚福は、人民解放軍総装備部副部長、戦略支援部隊副司令官兼参謀長、中央軍事委員会装備開発部長等を歴任した後、2019年7月に上将に昇格(e)した。





李尚福は航空宇宙分野にも精通しており、西昌衛星発射センターで長年勤務している。そして、同センター司令官、月探査プロジェクト発射場システム最高指揮官、嫦娥二号発射場エリア司令官等を務めた。





2018年9月、米国務省は「米国の敵を制裁するための法案」(2017年8月に成立)に基づき、ロシアの大手武器輸出企業、ロシア防衛産品輸出公社





(Rosoboronexport)との「重要な取引」について、中国共産党中央委員会に制裁を科したと発表した。





米国務省によると、この制裁は、中国共産党が2017年にSu-35戦闘機10機を、2018年にS-400地対空ミサイルシステムを購入したことに関連するものだという。その結果、李尚福は、ロシアの戦闘機・ミサイルを購入したという理由で、米政府から制裁を受けている。





ところで、3月6日、習近平は中国実業家の前でワシントンを名指しで批判し、「米国を中心とする西側諸国による対中封じ込めと抹殺は、我が国の発展に前例のない挑戦をもたらす」と述べた(f)。





また、翌7日、秦剛外相は、最初の記者会見で、米国の中国への政策方針が変わらなければ、「間違いなく対立があるだろう」とワシントンに警告している。





おそらく、習主席は3期目が米国との“競争”によって特徴づけられると確信しているのかもしれない。習政権が敢えて李尚福を国防相に任命したのは、米国に対する一種の「デモンストレーション」ではないかと、香港メディアは報じている。





しかし、国防相の最も重要な責務は「軍事交流」である。李尚福国防相就任は、今後の米中関係に大きな影響を与える可能性が高いのではないか。また、米中両国国防相が会談する場合、「非常にデリケート」になると予想される。





もしかすると、習政権は、李国防相を通じて、米国の中国共産党に対する“忍耐力”をテストするつもりではあるまいか。その後、北京は対米軍事戦略を決定するのかもしれない。今後、習政権は米国との対決姿勢を鮮明にしていく公算が大きい。





〔注〕





(a)『万維ビデオ』「李強では安心できない この2人の李克強派が予想外の留任となる」(2023年3月12日付)





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