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バイデン大統領をどう評価するか その2 中国に軍事攻勢を許した

Japan In-depth / 2023年3月18日 11時2分

バイデン政権は中国の軍事目的の偵察気球がアメリカ領空に侵入しても1週間以上も放置した。議会下院で多数派となった共和党側はこうしたバイデン政権の対中姿勢は軟弱にすぎるとして、新議会の冒頭で中国への対決を強める対中戦略特別委員会を発足させた。





第四の特徴はバイデン政権の北朝鮮とイランに対する姿勢の明白な後退である。





北朝鮮はいまやアメリカを嘲笑するかのような挑発的な軍拡を誇示する。バイデン政権は北朝鮮の核廃絶という歴代米政権の政策目標を強調せず、オバマ政権時代の「戦略的忍耐」策へと戻ったような消極姿勢をみせる。金正恩朝鮮労働党総書記は核兵器と長距離ミサイルの開発を誇示する。





金総書記はトランプ大統領に対しては請い願うというおとなしい態度で会談を求めていた。核やミサイルでの挑発も一切、止めていた。





その理由は明らかにトランプ大統領が金総書記に対して「炎と怒り」という標語で象徴する軍事攻撃の可能性を明示していたことだった。だがいまでは金氏は軍事対決を避けるバイデン大統領に対して傲慢な軍事挑発を続けるのだ。





イランのアメリカに対する姿勢も強硬になった。イランはいまやロシアのウクライナ侵略を堂々と支援する。アメリカにも戦闘的な態度を露骨にする。だがトランプ政権時代にはその同じイランは革命防衛隊の司令官をアメリカ側に暗殺されても牙を向けることはなかった。





バイデン政権は明らかにテロ国家のイランをこれまでよりもさらに反米の冒険主義的行動へと追いやったという印象なのだ。





(つづく。その1)





**この記事は月刊雑誌『正論』2023年4月号に載った古森義久氏の論文「国際情勢乱す米国政治の混迷」の転載です。





トップ写真:カブール奪還1周年記念日に気勢を上げるタリバン(2022年8月15日 アフガニスタン・カブール)出典:Photo by Paula Bronstein /Getty Images




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