医療ガバナンス研究所設立から7年
Japan In-depth / 2023年3月24日 7時0分
さらに、経験を積めば、独立すればいい。自分たちで医療機関を「経営」すれば裁量は増す。厚労省も医学界もプライマリケアが重要と主張するが、それなら個人、あるいはグループで早期に開業した方がいい。その収益を研究、人材育成投資に使うことが可能だからだ。
臨床研究に投資することは、医療機関の成長にも貢献する。向上心ある若手医師・医学生が集まってくる。経営者から見れば、医師確保コストが低下する。
▲図1
図1は、我々のグループが発表した英文論文数の推移だ。東大から独立後、生産性が向上していることがわかる。研究の自由度が増し、研究資金も増えたからだ。
特記すべきは、22年に発表した112報の論文のうち、29報(26%)は大学生が筆頭著者であることだ。坪倉・尾﨑医師に加え、谷本哲也医師、瀧田盛仁医師(共にナビタスクリニック内科)らの指導に負うところが大きいが、医学生が実際に研究に従事し、英文論文をまとめるという作業を通じて、思考力が身に付く。医師は、診療して、調べて、書くという作業を一生続ける。医学生は、我々のグループのインターンを通じて、その第一歩を経験することになる。
財政難が続く我が国で、公的研究費の不足を嘆く声が多い。我々は臨床医だ。診療で稼いだカネを研究・人材育成に投じてはどうだろう。ゲノムプロジェクトや遺伝子治療などの「巨大プロジェクト」は出来ないが、小さくてもいいから、やれることはある。我々が発表した論文は、すべてそのような研究だ。
私は、現場で診療し、研究を積み重ねることで、我が国の医療現場は少しずつ改善していくと信じている。このような作業を通じ、「官でない公」を作りたいと願っている。
トップ写真:医療ガバナンス研究所のスタッフ、インターンの大学生たちと。前列中央が筆者(2022年11月27日、筆者提供)
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
2024年5月開催「第112回日本美容外科学会」において研究結果を発表
PR TIMES / 2024年6月24日 15時45分
-
2024年5月開催、国際医学会「AMWC Asia」において研究結果を発表
PR TIMES / 2024年6月21日 13時40分
-
咽頭画像データベース(レジストリ)が6大学病院とアイリス共同で始動
PR TIMES / 2024年6月18日 17時45分
-
難渋症例を解決に導いたエキスパート専門医を称える「E-コンサルAward 2023」を開催
PR TIMES / 2024年6月18日 11時15分
-
ジャパン・メディカル・カンパニー社製の「赤ちゃんの頭のかたち矯正ヘルメット」を用いたヘルメット治療の効果を検証・分析した論文が英文学術誌に発表
PR TIMES / 2024年6月4日 0時40分
ランキング
-
1茂木敏充氏が自民総裁選に意欲も…《河野もあり得ないが、茂木もあり合えない。そろって勘違い》と悪評ふんぷん
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月1日 9時26分
-
2脳裏に焼きつく救助の光景 「忘れない」消防士の誓い 能登地震半年
毎日新聞 / 2024年7月1日 17時51分
-
3会わせないように…母・田村浩子被告が出した“苦渋のアイディア”明らかに すすきの殺人裁判
STVニュース北海道 / 2024年7月1日 16時14分
-
4富士山の山梨側「吉田ルート」で山開き 新たな入山規制始まる
毎日新聞 / 2024年7月1日 10時21分
-
5セクハラ辞職の前町長、100万円収賄容疑で再逮捕…岐阜県池田町
読売新聞 / 2024年7月1日 14時39分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください