中国側からバイデン一家への謎の資金の真相は
Japan In-depth / 2023年3月28日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・下院監査改革委員会、中国企業から疑惑の資金がバイデン大統領親族らに提供と発表。
・コーマー委員長、公式調査の標的がバイデン大統領であることを明らかに。
・ハンター氏の疑惑のビジネスに父バイデン氏が関与した可能性も。
ワシントンの国政の場では民主、共和両党の衝突がまた一段と険しくなってきた。民主党の政治意図を反映したかにもみえるニューヨークの検察官がドナルト・トランプ前大統領を起訴や逮捕へと踏み切る動きもみせ始めた。トランプ氏はこの動きを自ら発信して、「民主党側の捜査機関を動員しての不当弾圧だ」と反発する。
その一方、連邦議会の下院では多数派となった共和党側が立法府の捜査権を利用して、中国からジョセフ・バイデン大統領一家への疑惑の資金の流れの概略を発表した。この発表は米側金融機関からの報告資料を基礎としたとされるため、確実な根拠があるとみられている。民主、共和両党の激突のなかでも、この中国マネーの真相は特に幅広い注視を集めるようになった。
アメリカ連邦議会下院の監査改革委員長のジェームズ・コーマー議員(共和党)は3月中旬、「中国の企業からの100万ドル以上の疑惑の資金がバイデン大統領の親族ら4人に提供された」と発表した。
バイデン大統領側の民主党議員たちは党派の争いからの誇大な糾弾だと反発する。
しかし今回の共和党側からの追及は下院の正式な委員会の召喚状や証人喚問の権限という拘束力に基づく動きであり、重みを発揮している。
コーマー議員の発表にはバイデン政権をも揺さぶる重大な新要素も入っていた。共和党はここ2年ほどバイデン大統領の次男のハンター氏が中国やウクライナの腐敗疑惑の企業から理由不明の巨額の資金をコンサルタント料などとして受け取っていたとして、その疑惑を追及してきた。
だが昨年11月の中間選挙で共和党はバイデン政権下では初めて下院の過半数を制し、議事運営の権限を握った。その結果、同じ調査でも正規の委員会の召喚状などによる強制力を発揮できるようになった。その権限を使いバイデン氏に関する調査でも複数の銀行から「疑惑活動報告」(SAR)という違法の疑いのある資金の流れの記録を取得したという。
コーマー議員がこうした材料や経緯を踏まえて発表した骨子は以下のようだった。
・ハンター氏の友人でビジネスパートナーのロブ・ウォーカー氏が代表する投資企業「ロビンソン・ウォーカー社」は中国の国営エネルギー企業「国能香港有限公司」から2017年3月、約300万ドルの理由不明の資金を支払われた。
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