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北京で逆転した学部生と大学院生の数

Japan In-depth / 2023年3月29日 18時0分

ちなみに、全国的に見ると、大学院生は「10人に1人」のトップクラスの人材で、この点は依然、変わっていない。





さて、なぜ、北京市(と上海市の一部)で学部生数と大学院生数で「逆転現象」が起きた(d)のか。





第1に、科学技術の発展で、大学院生の需要が増加した。普通、院生が習得した知識はより体系的かつ専門的であり、科学研究および管理作業に適している。





第2に、富裕層家庭では多額の教育費を出せるようになり、大学院生数が増加した。





第3に、将来、就職しやすいようにと、多数の大卒が大学院へ進学するようになった。





第4に、多くの大学が教育レベルを向上させるために、院生数を増やし、大学自らが発展を追求した。





第5に、近年、海外留学の意欲は徐々に低下し、国内大学院への進学が増加した。





かつて、米国の大学では留学生中、中国からの留学生数が世界一だったが、米中関係の悪化に伴い、中国の若者の米国留学(特に、理系)が難しくなっている。現在、中国に代わって、インドから米国へ留学する学生が一番多いという。





ただし、大学院修了者よりも大卒を雇用した方が有利だと考える人達もいる。





第1に、大卒は大学院修了者よりも若く、キャリアを選択する際、柔軟性がある。そのため、後者が必ずしも大卒よりも良い仕事を見つけられるとは限らない。





第2に、大卒は、新しいポジションに就いた後、大学院修了者よりも常に新知識を得ようする。その結果、後者よりも高い給与を取る可能性がある。





ところで、教育に関して、ある社会的問題が発生している。中低所得層家庭の場合、(学部から大学院へと)教育期間が延長されれば、子供の教育費捻出が困難になる。無理に捻出しようとすれば、貧富差が更に拡がる(e)だろう。





ちなみに、中国のジニ係数(貧富の差を示す数字。0~1の間で小さければ小さいほど貧富の差がない)は0.7以上という大きな数字となっている。





結局、学歴と実力は別物なので、雇用する企業側としては、若くて有能な人材であれば、大卒でも大学院修了者のどちらでも良いのではないだろうか。





 





〔注〕





(a)『人民網』「2023年、大卒者は1158万人に達する見込みである」(2023年1月28日付)





(http://finance.people.com.cn/n1/2023/0128/c444648-32612991.html)





(b)『毎日経済新聞』「124万2500人! 全国の大学院生がまた増えた! 北京の大学院生が初めて学部生を超えたが、どうする対応するのか?」(2023年3月23日付)





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