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米、機密文書漏洩の衝撃

Japan In-depth / 2023年4月12日 7時22分

これだけではない。その数日後、今度は100件以上の別の機密文書がネット上に流出したが、内容的にはウクライナだけでなく、中東や中国に関する機密情報も漏れているらしい。また、米有力紙は、流出した情報にはロシアだけでなく、同盟国である韓国やイスラエルの政府内通信を傍受していたことを示唆するものと報じた。


 しかし、それは別に驚く話ではないだろう。第二次大戦中に米国は最重要同盟国であるイギリスの軍事通信を傍受していたぐらいだから。米関係者は「恐らくはスノーデン事件以来最も有害な情報漏洩事件」と述べているという。米国の同盟国、特にファイブアイズ(英加豪NZ)は懸念を深めているとも報じられた。


 それにしても、最近の機密情報漏洩は規模が大き過ぎる。情報の電子化が進んだためか、メガバイトではなく、ギガバイト、場合によってはテラバイトの単位で情報が抜かれるのだから・・・。便利になった分、漏洩した場合の深刻度は数千倍、数百万倍高まるだろう。恐ろしい時代になったものだ。


 


 最後に、陸上自衛隊のヘリコプターが沖縄県の宮古島の周辺で消息を絶った事故について一言。事件発生から5日経ったが、隊員につながる有力な手がかりは今も不明だという。第8師団は精鋭の陸自の中でもエリート集団であるだけに、個人的にもショックは極めて大きい。とても心配だ。


 


〇アジア 


中国人民解放軍報道官は10日、台湾を取り囲む形で3日間続けてきた軍事演習が「成功裏に完了した」と発表したそうだ。台湾総統がカリフォルニアで米下院議長に会ったことへの報復として行われたようだが、当初中国側の動きは予想以上に鈍かった。共産党内で「弱腰過ぎる」とでも批判されたのだろうか。後出し的な発表に聞こえた。


〇欧州・ロシア


 ウクライナ戦争関連の機密情報流出について面白い議論がある。ウクライナ当局はロシアが偽情報キャンペーンを行っている可能性があるとするのに対し、ロシアを中心に軍事ブロガーたちは、今回の出来事はすべて、ロシア軍の司令官を惑わすための西側の画策の一環だと断じているそうだ。真実は一つのはずなのだが・・・。


〇中東


イランに続きサウジアラビアはロシアを通じシリアのアサド独裁政権との和解を試みていると報じられた。一部に「中露が主導して中東の勢力図を塗り替えている形で、大きな影響力を誇示してきた米国の地盤沈下が急速に進んでいる」と見る向きもあるが、筆者は単に中露が「招き入れられている」と見る。中露の評価は過大も過小もダメだ。


○南北アメリカ


米国の機密文書流出問題で、ニューヨーク・タイムズは韓国政府の通信を傍受したことを示す文書が含まれていたと報じたが、韓国大統領府関係者は「事実の把握が最優先だ。韓米同盟で形成された信頼関係に基づき、必要な場合は米国側に適当な措置を要請する」とのみ表明しているそうだ。アメリカは韓国に感謝すべきである。


〇インド亜大陸 


特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。


トップ写真:米、国防総省 2003年9月26日・バージニア州・アーリントン


出典:Photo by Andy Dunaway/USAF via Getty Images


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