金正恩が恐れる米韓の北朝鮮核対応策
Japan In-depth / 2023年4月15日 18時0分
こうした矛盾に満ちた混乱した主張は、現在米韓の間で検討が進められている「核共有」に対する恐怖からきたものと推測される。
■極超音速ミサイル「ダークイーグル」の実戦配備
米韓で検討されている金正恩が恐れるもう一つの軍事対応は「ダークイーグル(Dark Eagle)ミサイル」(LRHW)の実戦配備だ。
「ダークイーグルミサイル」の発射が初公開されたのは一昨年だった。2021年10月77日、ワシントン州タコマ市郊外にある米陸軍のルイス=マコード統合基地に、開発中の新型中距離ミサイル「LRHW」の試作型発射機が送られ初公開された。「ダークイーグル」は、陸海空共通の極超音速滑空体(C-HGB)を弾頭に使う極超音速滑空ミサイルで、マッハ17、射程2775km以上の最新式の新型中距離ミサイルである。
今年3月29日の米軍報道資料によると、この「ダークイーグル」が、「第3野戦歩兵連隊第5大隊第1多領域任務部隊(MDTF)長距離射撃隊)」に実戦配置されたとのことだ(シン・インギュン国防TV)。
この多領域任務部隊(MDTF)は、ダークイーグルと短距離射程(32-1000km)のハイマース(HIMARS Prsm)そして中距離射程(460ー1600km)のMRCと組み合わせて構成されているという。
「ダークイーグル」は、インド太平洋地域に3個部隊が配備されるとされているが、今のところどの地域に配置するかは明らかにされていない。米国本土だけの配置では迅速対応ができないのは明らかなので、インド太平洋地域のどこかに前進配備するのは間違いない。
この「ダークイーグルミサイル」の韓国配備を金正恩は恐れているのだ。4月10日の党中央軍事委員会で、金正恩が韓国の地図を映し出し指さしている場面があったが、「ダークイーグル」対策を語ったかもしれない。このミサイルが韓国の平沢(ピョンテク)市にある米軍基地(キャンプ・ハンフリーズ)に配備されれば、平壌へは1分、北京は3分で精密打撃できるからだ。
そうなれば、今北朝鮮が見せびらかしている各種短距離ミサイルの原点遮断が可能となる。それは北朝鮮の各種短距離ミサイルで無力化状態に陥っていた韓国の「キルチェーン(策源地先制攻撃)」復活を意味する。金正恩が不眠症に陥るのは当然だろう。
金正恩はいま、韓国支配を実現するために「敵がいかなる手段と方式によっても対応が不可能な多様な軍事的行動方案をつくる」として「国防計画5カ年計画」の完成を急いでいるが、しかしそれが完成された頃には、米国によって、とてつもない新兵器が開発されているかもしれない。
金正恩は「走るやつがいれば、その上をゆく飛ぶやつがいる」との格言を噛みしめる必要があるようだ。
トップ写真:米韓合同航空訓練の様子(2023年3月19日)出典:Photo by South Korean Defense Ministry via Getty Images
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