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深刻化する東南アジアの煙害

Japan In-depth / 2023年4月19日 11時0分

ザリハ・ムスタファ保健相は、‟ヘイズは目の炎症、喉の痛み、咳、肌のむず痒さなどを引き起こし健康に有害” と同紙に語り、喘息持ちの子供などに家にとどまるよう呼びかけている。また、「気温が36℃を超えたら違法な野焼き取り締まりを強化すべき」との前保健相の声も報じた。


同紙はまた、ニック・ナズミ天然資源・環境・気候変動担当相が「このヘイズは8月まで続きそう」と見ていることを紹介。同相は「新型コロナ・ウイルス汚染が続いた時期にはヘイズは弱まったが、新型コロナが収まり経済活動が活発化してきている現在、またヘイズがひどくなる」と心配している。


 


■ASEANは地図上でヘイズの流れを表示


東南アジア諸国連合(ASEAN)は2002年、越境煙害に関するASEAN協定を締結し、2020年までにヘイズのないASEANを目指すとしたが、インドネシアが最後の批准国として同協定を批准したのは2015年1月。しかし、ヘイズ汚染はその後も続いている。


ASEANは現在、ヘイズ・センターのウエブ上の天候情報欄(Weather and Climate Services)に、ヘイズによる環境への影響が大きい地域を示したホットスポット分析を示している(図1参照)。



図1)ヘイズによる環境への影響が大きいホットスポット分析を示している


提供)Regional Haze Situation


それを見ると、ヘイズはマレーシア、シンガポール、マラッカ海峡、インドネシア、ブルネイだけでなく、フィリピン、ベトナム、カンボジア、タイなどアジアの広範囲に及んでいることが分かる。


 


■日本、さらに積極的な貢献を


泥炭地が地球の陸地全体に占める割合は3%程度とされるが、前述のように、排水で地下水位が下がり湿地林が乾燥すると泥炭が空気に触れ、泥炭の分解が進むという。その結果、CO2など温室効果ガスの放出が進む。


日本政府は2015年10月、インドネシアの大規模な野焼き・森林火災が発生源と見られた同国や近隣諸国の大気汚染に対し、専門家派遣・消火剤供与の支援を行った。


海外に拠点を置く日本企業の内、アジアに拠点を置く企業は全体の69%に当たる5万3400社強と多い(2021年10月、外務省調べ)。アジアに在留する邦人数も、北米在留者数に次ぎ多く、全体の38%弱に相当する37万人と多い(2022年10月、外務省調べ)。


インドネシア、マレーシアを中心としたヘイズ問題の対処に対し、日本はさらに積極的な貢献が求められているのではないだろうか。


トップ写真:泥炭地で広がる森林火災 2019年9月14 日 インドネシア中部カリマンタン・パランカラヤ


出典:Photo by Ulet Ifansasti/Getty Images


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