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補欠選挙 「自民辛勝」は正しい見方か

Japan In-depth / 2023年4月29日 11時0分

野党候補が一本化されていたら敗北を喫していたという指摘は正鵠を得ている。しかし、スキャンダルで辞職した議員の後継候補が、党への強い批判のなかで勝ち抜いたこと自体はやはり、大きな成果だろう。





菅内閣の2021年4月、収賄で起訴された吉川貴盛衆院議員の辞職に伴う北海道2区補選で、候補者擁立を見送らざるをえず不戦敗を喫したことを考えれば、明らかだ。





■素人候補、旧社会党の牙城で大きな勝利





同様に予想外の勝利というべきは、参院大分だ。





千葉同様、選挙戦は大きく後れ、白坂亜紀氏を公募によって擁立することを決めたのは、投票1か月余前の3月11日。





ドタバタの候補選びだっただけに、「本命がみつからないままの選考」(朝日新聞電子版)などと揶揄されもした。





大分は村山富市元首相を輩出した地元、旧社会党の勢力が強い。白坂氏の対立候補、吉田忠智氏は、すでに組織が衰退していたとはいえ、社民党の党首も経験したベテラン。





対する白坂氏は政治経験がなく、知名度、人気もいまひとつ、当選はおぼつかないという予想も少なくなかった。





340票という劇的な僅差とはいえ、望外の結果だろう。





■和歌山の敗因は選挙戦より党幹部の確執





5補選で唯一敗れた衆院和歌山1区は、候補者選定の過程で混乱した。





国民民主党の岸本周平議員が知事に転身したことを受けての選挙。当初、自民党の同県選出参院議員、鶴保庸介氏が本命といわれていた。





しかし、県選出の世耕弘成参院幹事長と二階俊博元幹事長の確執のあおりで、鶴保氏の擁立が見送られ、小選挙区で敗北続きの門博文氏の出馬となった。





世耕氏は、自らが衆院に鞍替えをもくろんでいるといわれる。





鶴保氏が出馬していれば異なった結果となったと指摘されている。実力者同士の主導権争いゆえに手が届くはずの議席を得られなかったとあっては、責任は選挙戦の稚拙さ、敗北より、実力者の愚かな行動に帰せられるべきだろう。 





こうしてみてくれば、「自信を持つべき」という麻生副総裁の言葉が、違和感なく響いてくる。自民党はやはり勝者で、敗者は一議席も得られなかった立憲民主党ではなかったか。





■首相、解散権行使でいっそう優位に





今回の選挙結果を踏まえて、衆院の解散・総選挙の時期について観測がかまびすしい。





和歌山で議席を獲得した日本維新の会の選挙準備が整わないうちに断行すべきだという積極論と、維新が勢いにのる今は得策ではないという慎重論に2分されている。





解散権をもつ岸田首相が、選挙結果をどう総括し、分析するか。





解散時期はそれにかかっているが、どんな結論を出すにせよ、首相が一段高みの位置に就いたことだけは間違いない。





トップ写真:千葉5区英利アルフィヤ氏の応援演説に駆け付ける岸田首相(千葉県浦安市、2023年4月15日)出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images




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