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動き出したスリランカ支援

Japan In-depth / 2023年4月30日 11時0分

今年の4月13日には米ワシントンで、G20 ・中央銀行総裁会議が開かれた。途上国で問題化する債務問題などで共同声明は出せなかったが、日本の主導でスリランカの債務返済繰り延べに向けた債権国会議を発足させた。鈴木俊一財務相兼金融担当相、インドのシータラーマン財務相、フランスのムーラン経済・財政省国庫総局長、スリランカのウィクラマシンハ大統領兼財務相(オンライン参加)およびセーマシンハ財務担当国務相、国際通貨基金(IMF)のゲオルギエヴァ専務理事、岡村健司副専務理事が記者会見し、同会議の発足を表明した。





鈴木財務相はその席で「広範な債権国間の協調体制が生まれることは歴史的快挙」と述べた。G20 は2020年に低所得国の債務問題を扱う共通の枠組みをつくり、スリランカのような中所得国扱いに対する債務返済危機に対しては債権国で構成するパリクラブが当たっていた。今回のスリランカに対する債権国会議にパリクラブのメンバーでないインドも入っている。鈴木財務相は、国としてスリランカに最大の債権を有する中国が同会議に出席するかどうかについて言及しなかった。





◾️「債務のわな」を仕掛けた中国の出方がカギ





スリランカは中国の一大経済圏構想「一帯一路」の下で、「債務のわな」に陥ったとの見方が一般的だ。中国はそうした見方に反発している。しかし、スリランカは南部の主要港であり、ラージャーパクサ兄弟の地元であるハンバントタ港の建設資金約14億ドルに関し、中国からの負債と同港の99年間の運営権をスワップ(交換)している。その合意では、中国の軍関係者の関与を禁じるとなっているようだが、中国がミャンマー、パキスタンに続き、スリランカにインド洋進出の拠点を手中にしたと見る向きは根強い。





スリランカの対外債務額は資料によって異なるが、IMFの今年3月段階の同国レポートによると、2022年の官民の対外債務総額は暫定値で587億ドル、2023年の予測値は562億ドルとなっている。外国法に準拠した2022年の公的対外債務額は約415億ドル弱。うち、IMF、世界銀行、アジア開発銀行など多国籍機関が115億ドル弱。個別国の総額は114億ドル強で、日本などパリクラブ所属国が48億ドル弱、非パリクラブ国の中国が45億ドル弱、同じく非パリクラブ国のインドが18億ドル強。中国の国家開発銀行などによる貸し付けが29億ドルなどとなっている。





IMFはスリランカの今年の実質GDP成長率をマイナス3.0%と見込んでいる。





スリランカの貿易相手国で、輸入で最大なのは中国でシェアは21%、2位はインドで22.4%、産油国のアラブ首長国連邦(UAE)が3位で6.8%。輸出は、米国が24.8%、英国が7.5%、インドが6.6%の順。





ロイター電は3月初旬、中国輸出入銀行がスリランカに送付した書簡の中で2022年と2023年が支払期限の債務について支払い猶予を数か月内に実施などと繰り返し強調、と報じている。





中国は債権国会議の対応を見ながら、自らの力をより大きく見せる方途を探っているように見える。(敬称略)





トップ写真:深刻な経済的苦境にあるスリランカの新大統領にラニル・ウィクラマシンハ氏が選出され抗議する人々(2022年7月20日)出典:Photo by Abhishek Chinnappa/Getty Images




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