習主席、西安を「戦時首都」に?
Japan In-depth / 2023年5月27日 11時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・G7広島サミットでは、中国の「台湾進攻」もメインテーマの一つとなった。
・それに対抗し中国は西安市で「中国ー中央アジアサミット」を開いた。
・唐朝時代の中国の威厳の再興や台湾進攻時に戦時首都とする狙いがあるのでは。
今年(2023年)5月19日~5月21日、第49回先進国首脳会議「G7広島サミット」が開催された。最大のテーマはロシア・ウクライナ戦争と核軍縮で、最終日、ウクライナのゼレンスキー大統領も同サミットに参加している。
また、中国の「台湾侵攻」もメインテーマの1つとなった。5月20日に発表された「G7広島首脳コミュニケ」の中には、「自由で開かれたインド太平洋を支持し、力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対する」という一文と共に「我々は、国際社会の安全と繁栄に不可欠な台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認する」(a)と言及している。
「G7広島サミット」の首脳宣言で、台湾問題への懸念が示されたことを受け、中国外務省は「中国の内政への干渉に断固反対する」(b)と反発した。
だが、我々がしばしば強調しているように、中国共産党は1日たりとも台湾を統治した事はない。台湾は自律的な島である。仮に、中国が台湾を「統一」した後、他国が台湾をどうこうすると言えば「内政干渉」に当たるだろう。だが、現時点で、同党のG7による「内政干渉」批判は意味をなさないのではないか。
さて、一方、中国共産党は、5月18日~19日、「G7広島サミット」に対抗し「中国—中央アジアサミット」を陝西省・西安で開催(c)した。
習近平主席が中央アジア5ヶ国首脳との初の自国サミット開催地として同地を選んだのは、背景には何か特別な配慮があるのかもしれない。
今の西安市は古都・長安である。特に、唐朝時代、長安は世界で最も栄えた都市の1つだった。習主席としては、中国再興の「夢よ、もう一度」というつもりなのか。
今回、新疆ウイグル自治区が西安市とのサミット開催誘致を競っていたという。だが、後者が圧勝した。その理由の一つとして、習主席の故郷が陝西省富平県であり、そこには主席の父、習仲勲の廟が存在するからだろう。
なお、習主席の弟の習遠平(1956年生まれ)は、主席が政権を握って以降、習家のスポークスマンとなった。そして、習遠平は陝西省で行われる習仲勲記念イベントには頻繁に参加していたという。
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