アメリカはいま――内政と外交・ワシントン最新報告 その5 米側メディアの偏向が日本での認識をゆがめる
Japan In-depth / 2023年5月30日 16時0分
▲写真:下院司法委員会に設置された「連邦機関の武器化調査委員会」の公聴会に呼ばれ、開会を待つ停職中のFBI特別捜査官(左)と元FBI捜査官(右)(2023年5月18日 米連邦議会)出典:Photo by Alex Wong/Getty Images
今度は逆になったのです。共和党が新しい特別委員会を特定の委員会のなかにつくって、「連邦機関の武器化調査委員会」と名づけました。武器というのはweaponです。武器化するというのはweaponizationという言葉です。共和党側はこの言葉をどーんと正式に出してきました。どういうことかというと、共和党側は民主党側がバイデン政権を主体に司法機関を自分たちの政治的利益のために武器として共和党攻撃に使っている、という主張なのです。
だから、司法省とか検察当局、さらには日本の国税庁に当たる公的な強制徴税力を持つ内国歳入庁(IRS)という機関を使って共和党いじめをしている、という苦情があるわけです。共和党が主導して、この種のことを調査するという特別委員会ができてしまったのです。だから国政の場の風景はいろいろなふうに変わってくる。
しかし、それでもなお、民主党支持者たちはトランプ前大統領が起訴されたことを喜んでいる。さんざん悪いことをしてきたのだから、ついに起訴されたというような主張をニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビ……ちなみに、アメリカの主要メディアというのは、いろいろな国際報道とか、国内のいろいろなキャンペーンで優れた部分はたくさんあるのですが、国内政治の報道になるときわめて強い党派性を発揮します。前述の主要メディアは極端ともいえる民主党支持なのです。
いまあげたような日本人にとって、あるいは、日本でアメリカ問題を研究しているような立場の人たちにとって、もっとも親しみを感じるアメリカのメディア、もっとも依存する度合いの高いアメリカのメディアは、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、つまり極端な民主党びいきの媒体なのです。
(その6につづく。その1、その2、その3、その4)
**この記事は鉄鋼関連企業の関係者の集い「アイアン・クラブ」(日本橋・茅場町の鉄鋼会館内所在)の総会でこの4月中旬に古森義久氏が「アメリカの内政、対中政策――ワシントン最新報告」というタイトルで講演した内容の紹介です。
トップ写真:ホワイトハウスの報道官が記者ブリーフィングを行う中、会場後方のテレビ画面に映し出された罪状認否に臨むトランプ前大統領の画像(2023年4月4日 米・ワシントンDC)出典:Photo by Kevin Dietsch/Getty Images
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