アメリカはいま――内政と外交・ワシントン最新報告 その6 トランプ起訴の大統領選への影響は
Japan In-depth / 2023年5月31日 11時0分
▲写真:トランプ前米大統領の罪状認否後の記者会見で話すアルビン・ブラッグ検事(2023年4月4日 米・ニューヨーク)出典:Photo by Kena Betancur/Getty Images
いつかというと次回のそのための会合は12月4日だというのです。いまは4月です。8カ月間何もしない。なぜ12月4日なのかというと、どうしても、思惑として考えざるを得ないのは大統領選がいよいよ始まるというタイミングです。
年が明けて、1月、4年に1度の大統領選挙はいつもはアイオワ州で党員集会ではじまるのですが、今回は民主党も共和党もサウスカロライナからはじめようということになっています。それが1月24日です。だから、民主党の思惑としてはそれに合わせてトランプの裁判ということになると彼のイメージが悪くなるだろうということでしょう。そういう思惑がどうしても出てくるのです。何度も同じようなことを言いますが、民主党側は非常に期待しています。トランプの悪い罪状をどんどん、正義の味方のブラッグ検事が暴いて、追い詰めていく。そんな展開を期待するわけです。
ここで一歩二歩引いてこのトランプ氏に対する起訴処分は一体、何なのだと考えてみましょう。
罪状にされている対象というのは2016年の大統領選挙です。7年前です。日本では、もうトランプ氏は終わりだ、とする見方も多いです。昨年の中間選挙で最大の敗者はトランプ氏だった、というのが多数派の見方になっている。しかし、そんなダメになった人のことを、なんで7年前にまで遡って追い詰めて、棺桶に入れて釘を打ち、棺桶の蓋を閉じるようなことまでしなければいけないのか。
これは、やはり、ドナルド・トランプという指導者が民主党にとってなお大きな脅威だから、ということになるでしょう。放っておくと、また出てきてやられる。現に出てきているわけです。つまりトランプ氏は民主党側にとって、まだまだ現実の脅威なのです。
ところが、起訴ということをやってみたら、さきほど述べたような民主党が有利になるような反応は起きなかった。そのへんを予測していた向きもあったのどうか。よくはわかりません。だけれども、予測していた向きもあるのだという見方もあります。
(その7につづく。その1、その2、その3、その4、その5)
**この記事は鉄鋼関連企業の関係者の集い「アイアン・クラブ」(日本橋・茅場町の鉄鋼会館内所在)の総会でこの4月中旬に古森義久氏が「アメリカの内政、対中政策――ワシントン最新報告」というタイトルで講演した内容の紹介です。
トップ写真:トランプタワーに姿を見せたドナルド・トランプ前大統領(2023年5月28日 米・ニューヨーク)出典:Photo by James Devaney/GC Images
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