「史上最弱」李強首相と劉鶴前副首相復活
Japan In-depth / 2023年6月28日 18時0分
ひょっとして、中央政府上層部の「習軍団」他派閥が、李強を中傷し、首相を「レームダック化」に追い込んだのかもしれない。あるいは、昨年12月、習主席肝煎りの「ゼロコロナ政策」を終了させたのが李強だという。そのため、主席の怒りを買った公算もある。
すでに李強首相が「レームダック化」したため、「党国体制」全体が崩壊し、首相の政治生命が危険にさらされているという指摘がある。
中国内外は一時、3年間の苛酷な「ゼロコロナ政策」規制緩和後、同国経済の回復を期待した。ところが、経済の復活は未だ見られず、李強首相は本質的な対応策を打ち出せないでいる。
以前、李克強前首相が「史上最弱」と揶揄された(c)事があった。だが、もしかすると李強首相は李克強前首相よりも“力が弱い”のではないだろうか。やはり、首相は主席の単なる“下僕”で終わる可能性を排除できない。
周知の如く、習主席は新人事で能力や経験よりも忠誠心を重視し、党の中央集権的で統一的な指導を目指した(d)。だが、おそらく、幹部らは複雑かつ困難な経済情勢に対処する専門知識や技術を持ち合わせていないのだろう。
そこで、習主席は、かつての腹心で引退した経済通の劉鶴(71歳)を引っ張り出して来た。米ハーバード大学修士号を持つ劉鶴は、今年3月に副総理を辞任し、翌4月には中央財経委員会弁公室主任も退任している。
けれども、劉鶴は国内経済政策と貿易・経済問題について米国とどのように対話するかなど、核心的議題について助言を要請されているという。今こそ、指導部は劉鶴の知識と経験を必要としているのではないか。
米国は、近くイエレン米財務長官をはじめとする数人の米国高官が訪中する予定である。北京の対米戦略にはどうしても劉鶴が欠かせない。実際、劉鶴は、つい最近、開催された「党幹部秘密経済会議」に出席した(e)と伝えられる。
〔注〕
(a)『人民日報』
「李強、フランス公式訪問と金融に関する新グローバル融資契約サミット出席のためパリに到着」
(2023年6月22日付第1面)
(http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2023-06/22/nw.D110000renmrb_20230622_4-01.htm)。
(b)『万維ビデオ』
「『李強現象』が流行しているが、専門家は『危険だ』と指摘」
(2023年6月21日付)
(https://video.creaders.net/2023/06/21/2619381.html)。
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