トランプ氏起訴のブーメラン効果?
Japan In-depth / 2023年7月5日 11時0分
アメリカ一般国民のこうした反応はやはり民主党バイデン政権下の検察、捜査機関が共和党の大統領候補のトランプ氏にこの種の捜査や起訴の措置を下すのは、政治的な動機が強いとする認識が広範だからといえよう。
実際に各種の世論調査でもすでにトランプ氏の6月の起訴に対しては、政治的動機を感じるとするアメリカ国民の回答が共和党支持層で8割ほど、無党派層でも6割近くというような数字が出ていることが報じられた。
トランプ氏自身は2回の起訴に対して、そのすべての罪状に無罪だと主張し、この起訴の動きを「魔女狩り」と断じて、「民主党による歴史的な政治妨害」とも評している。
アメリカの司法に関してはよく「有罪確定までは推定無罪」という言葉が語られる。だれかが犯罪容疑で逮捕されても、起訴されても、その容疑が裁判で審理され、最終的に有罪の判決が決まるまでは、その被疑者や被告は無罪として扱われる、という原則のことである。
今回のドナルド・トランプ前大統領の二度目の起訴に関しても、アメリカ一般国民の多数派の反応はまさにいまのところ「推定無罪」なのだ。トランプ氏がまだまだ無罪であるかのような認識によって、政治的にはトランプ氏への支持をかえって強めた国民が多いのである。少なくともこれまで紹介した各種世論調査はそんな現実の流れを示したといえる。
アメリカには「バナナ共和国」という用語もある。バナナ共和国とは権力者が政敵を不当に弾圧する中南米の独裁国家へのアメリカ側での俗称である。その種の中南米の諸国にはバナナ産出国が多いことから生まれた侮蔑的な表現である。
前述のラスムセン社の世論調査では、調査対象に「アメリカはバナナ共和国のようになったと思うか」という質問もぶつけられた。その結果は58%がイエスだったという。と同時にそのトランプ氏に対する2回目の起訴が正当か、不当か、という質問もあった。正当が35%、不当が54%だという回答が出たという。
こうみてくると、トランプ氏の起訴という歴史的にも前例のない措置はトランプ氏を破滅させるという様相よりは、むしろ逆の方向に物事が機能するという展望も浮かばせてきたといえる。
民主党がもしトランプ氏を政治的に葬ろうとして、司法機関をこうした方法に動員していたとすれば、その結果、民主党側がかえって傷つくというブーメラン現象も可能性としては生まれてきたのである。アメリカでも政治はやはり一寸先は闇、ということなのか。
**この記事は日本戦略研究フォーラムのサイトに掲載された古森義久氏の寄稿論文の転載です。
トップ写真:サウスカロライナ州ピケンズの選挙イベントで歓声を上げるトランプ前大統領の支持者たち(アメリカ・サウスカロライナ州 2023年7月1日)出典:Photo by Sean Rayford/Getty Imeges
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