「Temu」vs「SHEIN」中国ECサイトに米反発
Japan In-depth / 2023年7月19日 18時0分
日本のショッピングアプリを取り巻く環境では、2020年12月から同業の「SHEIN(シーイン)」が先行してサービスを開始している。SHEINも激安価格で商品を販売し、特に10代の若者を中心に熱狂的な支持を得ており、昨年11月には原宿にショールームをオープンするほどの人気だ。
両社のビジネスモデルは似通っており、共に親会社のルーツが中国企業でアメリカ発のサービスとして事業を展開している。同業で共通点が多いことから熾烈な競争につながり、アメリカではTemuがSNSでインフルエンサーを起用しSHEINの信頼を失墜させたことが問題となり、法廷闘争に発展しているほどだ。
さらに大きな問題として、アメリカ政府による厳しい規制が及ぼす影響も懸念されている。米国連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委員会)」は6月23日に「SHEINとTemuに関する報告書」を発表し、さまざまな問題を提起した。
【主な問題】
新疆ウイグル自治区で強制労働させた商品を調達
知的財産の恒常的な侵害(デザインを無断で盗用)
輸入規制の抜け穴(関税や輸入国の申告逃れ)
国家安全保障上のリスク(個人情報等のデータが中国政府に渡る恐れ)
特に上記4の問題に関しては、以前よりアメリカ政府が中国のバイトダンスが提供する短編動画サービスアプリの「TikTok(ティックトック)」による個人情報が抜き取られる懸念を指摘し、同様の問題がSHEINやTemuにも存在すると言われる。個人情報が根こそぎ取り出される可能性があり、価格の安さに誘われて安易にアプリをスマホにインストールすることは危険だ。
今、日本が世界を席巻していた時代には考えられない速度で物事が進化し、それがグローバルに波及する状況でもある。欧米のスポーツイベントなどでも中国企業の広告が増え、インテルやアトレティコ・マドリードなど複数のサッカークラブのオーナーに中国人が就任するなどチャイナマネーが幅を利かせているのだ。
また、中国の会社法では、共産党の支配下にある企業内に党委を設置することが義務づけられ、民間企業であっても共産党の支配下にあると言える。中国が国を挙げて世界に進出し、各国の安全保障上のリスクが高まっている状況だけに、日本も国益を守るための対策を早急に講じる必要があるのではないだろうか。自民党の「ルール形成戦略議員連盟」が政府への提言を4月にまとめると報じられていたが、その後の動きは見えていない。
トップ写真:Temuのアプリアイコンとショッピングカート
出典:Photo by Anastasiia Yanishevska/Getty Images
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